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コラム

住宅の共有名義|夫婦の資金拠出割合に応じた持分割合

2020年4月11日住宅登記
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住宅を購入・新築した場合、夫婦それぞれでお金を出しているときは夫婦の共有名義にしなければなりません。夫婦それぞれが出したお金の割合に応じて持分をつけなければ、税務署から贈与税の指摘をされる可能性があるからです。また、土地を共有で購入した場合には、建物についても共有にしておくのが無難でしょう。

 1 この記事を読むと分かること 

○自分で住宅の持分を決めることができるようになる。
○土地を共有で購入した場合には、建物も共有にしておいて方が譲渡所得税の特別控除の点から無難であること。

 2 土地の持分の決め方 

○夫の持分割合=夫の出したお金/土地購入代金
○妻の持分割合=妻の出したお金/土地購入代金

 

 3 建物の持分の決め方 

 

3-1 持分の計算式

○夫の持分=夫の出したお金/建物購入代金
○妻の持分=妻の出したお金/建物購入代金

例外的に、建物資金は夫が全額出しているが、土地が市街化調整区域の妻の親名義であって、建築許可を妻名義で取得している場合には、暦年贈与の非課税枠110万円の範囲内で、妻の持ち分を付けます。例えば、3000万円の工事代金でしたら1000分の1(3万円相当)の妻の持分を付けておけば差し支えないでしょう。

3-2 分母となる建物の購入代金

住宅の持分を計算するための分母となる建物購入代金に該当するかどうかは、次のとおりとなります。

【該 当】建物工事代金、エアコン・給湯設備等の付属設備、ローン保証料・手数料、登記代等
【非該当】外構工事費用、火災保険料、家電・家具・カーテン等、ネット加入料等

もっとも、工事代金額は、上記の内訳の通りに区分されてはいませんので、その際には、便宜、請負総代金額を分母としても、差し支えないでしょう。

 

 4 夫婦それぞれが出したお金とは 

 

4-1 住宅ローン

住宅ローンで支払ったお金については、ローンの債務者(連帯保証人は含まない)が出したお金として考えます。つまり、次の通りです。

○単独債務の住宅ローンについては、債務者となる夫または妻が全額出したものと考える。
○連帯債務の住宅ローンの額については、収入割合(厳密には返済割合)に応じて夫と妻に振り分ける。

4-2 生前贈与

住宅購入に際して、親・祖父母から住宅取得資金非課税枠を利用したお金の贈与を受けたときは、次のように考えます。

○親から住宅取得資金非課税枠贈与を受けて出したお金については贈与を受けた夫または妻に振り分ける。

4-3 夫または妻の口座からの振込

夫名義または妻名義の口座から工事代金を振り込んだときは、原則的には口座名義人である夫または妻が出したものと考えます。

ただし、その口座の実態が、夫婦共有財産である場合は、適宜の割合で振り込んだとしても差し支えないでしょう。

 

妻が110万円を超えるお金を出したにもかかわらず妻の持分がないと税務署から贈与税を納付するよう指摘される可能性がありますので、以上を参考にして夫婦の持分割合をお決めいただくこととなります。

 

 5 マイホームを売ったときの譲渡所得税への影響 

将来マイホームを売ることとなった場合にいて利益が出ていたときは建物の名義がないと3000万円の特別控除を受けることができません。

マイホームを売ったときの譲渡所得税
=(売れた額-(買った額-建物の減価償却費)-譲渡費用-3000万円)×税率

参照:国税庁「共有のマイホームを売ったとき」

そのため、土地を夫婦共有名義で購入した場合には、建物について夫婦の片方しかお金を出さなかった場合にも、念のためお金を出していない夫または妻の名義を100分の1~1000分の1程度いれておくのが無難でしょう。

例えば、土地1800万円を夫婦半々で購入し、建物3000万円を夫単独で購入した場合において10年後に土地2500万円、建物1500万円、譲渡費用30万円、建物減価償却費1500万円で売却できたときの譲渡所得税は次の通りとなります。

土地:夫50%、妻50%、建物:夫100%の場合
夫の譲渡所得税={(1250万円+1500万円)-(900万円+1500万円)-15万円-3000万円)}×20.315%=0円
妻の譲渡所得税=(1250万円-900万円-15万円)×20.315%≒68万円

土地:夫50%、妻50%、建物:夫99%、妻1%の場合
夫の譲渡所得税={(1250万円+1485万円)-(900万円+1485万円)-15万円-3000万円)}×20.315%=0円
妻の譲渡所得税={(1250万円+15万円)-(900万円+15万円)-15万円-3000万円)}×20.315%=0円

 

 6 離婚したときの住宅の取扱い 

あらゆる事態を想定するという意味で、マイホーム購入の際に、もし離婚することになった場合、マイホームはどうするのかを考えておく必要があります。

6-1 夫から妻に財産分与して妻子が住み続ける

婚姻後に購入した土地・建物で、かつ、住宅ローンがない場合は、財産分与によりマイホームを妻又は夫の単独名義にすることができます。発生する可能性のある税金としては、譲渡所得税、不動産取得税、贈与税がありますが、基本的にはかからないケースが多いでしょう。

この場合は、土地や建物の名義が、単独か共有かにかかわらず、婚姻期間中の共有財産の分配として、いずれかの単独名義とすることができます。

6-2 夫から妻に売却して妻子が住み続ける

住宅ローンがある場合は、財産分与ではなく、ローン残高で買い取ることにより名義変更することが可能です。
○妻が両親からの援助等により買い取る。
○妻が住宅ローンを借りて買い取る。
この場合も、単独名義か共有名義かによる影響は基本的にはありません。
なお、念のため、売却する夫または妻が3000万円の特別控除を受けられるように、離婚届出後に、最終の所有権移転を行います。

6-3 夫名義のまま妻が住み続ける

住宅ローンがあり、妻が買い取ることもできない場合は、夫名義のまま、将来住宅ローンが完済されることを条件とした財産分与契約を締結します。この場合も、単独名義か共有名義かによる影響は基本的にはありません。

6-4 第三者に売却して売却代金を財産分与

この場合は、「5 マイホームを売ったときの譲渡所得税への影響」で記載した通り、建物に念のため妻の名義を付けておくのが無難でしょう。

 

 7 事例 

建物工事請負代金3300万円(非該当の外構工事代金を含む)を、妻の自己資金300万円、妻の親からの住宅取得資金贈与700万円、夫のローン2000万円、生活費の口座から300万円、で賄ったという場合の持分は次のように計算します。
夫の出したお金=ローンの2000万円+生活費口座の50%の150万円
妻の出したお金=自己資金300万円+親からの贈与金700万円+生活費口座の50%の150万円
夫の持分=2150/3300≒65%
妻の持分=1150/3300≒35%

外構工事費は厳密には分母に含みませんが、かといって外構工事費を個別に除外したうえで、本体工事と外構工事のそれぞれについて夫婦それぞれの資金拠出割合を算出することには実益がありません。
あくまで全体として夫婦がどういった割合でお金を出したのかが税務署に説明できれば差し支えないと考えます。

 

 8 まとめ 

○土地の持分は夫婦のお金を出した割合でつける。

○建物の持分も夫婦のお金を出した割合でつけるのが原則。

○土地を共有にした場合は建物も共有にした方が、譲渡所得税の観点からは無難。つまり、将来、転勤や離婚等によりマイホームを売ることになった場合には、建物に名義がないと3000万円の特別控除を受けられない。

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