こんなお悩みはありませんか?

賃貸アパートの経営を続けてきたが、高齢になり、入退去・大規模修繕・借換などの重要な判断がだんだん負担になってきた

将来自分の判断能力が低下すると、銀行も管理会社も動けなくなる「資産凍結」が起きると聞いて不安。
家族信託で元気なうちに世代交代!
賃貸アパートの所有者にとって、もっとも大きなリスクが「資産凍結」です。
所有者の判断能力が低下すると、入退去の契約更新・大規模修繕の発注・借換・売却など、すべてが止まってしまいます。
このような事態を防ぐことができるのが、家族信託(民事信託)です。
本記事では、70代男性Aさん(愛知県在住)が、アパート2棟(評価額1億円)とアパートローン5,000万円を、同居の長男へ家族信託で引き継いだ事例をご紹介します。
※プライバシー配慮のため、人物・地名・金額等は一部編集しています。

家族信託(民事信託)は、大事な資産が凍結されてしまう事態を防ぎ、元気なうちから信頼できるご家族に経営を任せられる制度です。
ご相談の概要
Aさんは、70代に入ってから健康面や認知能力に不安を感じるようになりました。
妻も同じように物忘れが多くなってきています。
現在アパート2棟(1億円)を経営していますが、入退去・大規模修繕・借換・将来の売却など、重要な手続きに対応するのが難しく感じるようになりました。
アパートローンも5,000万円残っており、同居の長男に家族信託で受け継がせて、管理運用を任せたいのです。

家族信託(民事信託)とは
家族信託とは、ご家族に財産を信託(=信用して委託)して、管理運用してもらう法的手続きです。
「あげる」わけではなく「貸して管理を任せる」に近く、完全に渡してしまう「贈与」とは本質的に異なります。

会社にたとえると理解しやすくなります。
| 家族信託上の立場 | 会社組織のたとえ |
|---|---|
| 委託者兼受益者(お父様) | 会長兼大株主 |
| 受託者(長男) | 社長兼連帯保証人 |
| 信託財産(アパート・金銭) | 会社の財産 |
| 信託財産責任負担債務(ローン) | 会社の債務 |
「社長であるお父様が引退して会長職になり、新社長に就任した長男が経営を任され、会社の財産と債務を管理する」と置き換えて考えると、本件の構造が直感的に把握できます。
家族信託のメリット(Before / After)
本事例で家族信託を利用した場合、どんなメリットがあるのか、仮に何も対策を取らなかった場合と比べてみましょう。
| 場面 | Before(何もしない場合) | After(家族信託を組成) |
|---|---|---|
| 入退去・賃貸借契約 | Aさんの判断能力低下で更新・解約が停止 | 受託者Bさんが単独で対応可能 |
| 大規模修繕・借換 | 発注・借換が停止し、物件価値が低下 | 受託者の判断で発注・借換を実行可能 |
| 家賃収入・経費支出 | 口座凍結で家賃も管理費も動かせない | 信託口口座で家賃受領・ローン返済を継続 |
| 贈与税・不動産取得税 | 贈与で承継すれば多額の課税が発生 | 自益信託のため信託設定時は非課税 |
| アパートローン5,000万円 | 債務者は変えられず、Aさんの責任が残る | 免責的債務引受で受託者へ移管 |

上記表から、家族信託を利用すること様々なメリットがあることがわかります。

なぜ家族信託か|主な承継手段との比較

収益物件の承継手段は家族信託だけではありません。主な選択肢を比較すると、家族信託が適合する場面が見えてきます。
| 項目 | 生前贈与 | 成年後見(法定) | 遺言のみ | 家族信託 |
|---|---|---|---|---|
| 管理・承継の開始 | 生前に即時 | 判断能力低下後 | 死亡後 | 生前契約後すぐ |
| 不動産の売却・修繕 | 受贈者が自由に実施 | 家裁の許可が必要 | 執行者就任後 | 受託者が柔軟に判断 |
| 贈与税・不動産取得税 | 課税 | ― | ― | 自益信託は非課税 |
| ローンの扱い | 債務者交代が必要 | 本人の署名が必要で停滞 | 死亡後の相続で承継 | 免責的債務引受で受託者に |
| 柔軟性 | 贈与後は撤回不可 | 本人保護優先で制約多 | 生前の管理は不可 | 契約設計で柔軟に対応 |
「元気なうちから死後まで、管理を途切れさせたくない」というニーズには、家族信託が最も適合します。
ローン付き収益物件で押さえたい3つのポイント
- 税金面での利点
自益信託(委託者=受益者=Aさん)の構成により、信託設定時の贈与税・不動産取得税は非課税。
アパートを長男に「譲る」わけではなく、「預けている」だけの状態なので、財産を託す人もそれによって利益を得る人もAさん自身です。
「名義と管理権限だけを託す」仕組み。- 残っているアパートローンの返済責任を長男に引き継ぎ
5,000万円のアパートローンは、借換を新しい銀行で実行しつつ、信託契約書に「信託財産責任負担債務」として明記し、銀行と受託者(長男)の間で免責的債務引受契約を締結。
言葉は難しいですが、要するにローン返済の責任を長男に引き受けてもらう契約を結びます。
これによりローンも受託者(長男)の管理下に置かれ、受益者(Aさん)固有の財産への債権追及を防ぐことができます。
基本的に信託財産であるアパートの家賃収入からローン返済を行いますが、万が一経営がうまく行かず支払いが滞った場合、長男がその責任を負います。
長男にはアパートの経営権があるので、そのような事態にならないよう適切に経営したり、収益がマイナスになりそうな場合はアパートを売却することもできます。- 様々な「もしも」に備えた設計
-
受託者の信託変更権限を制限し「特定委託者」認定リスクを回避。
さらに「万が一」に備え、後継受託者・2次受益者・予備的受益者・残余財産受益者まで設計し、将来のあらゆるシナリオに対応できる「使える信託」にしました。
受託した長男の一存で信託の内容を書き換えられないように変更権限を制限します。これにより、「みなし贈与」となるリスクを回避します。
この3点のいずれかを外すと、税務リスクが発生したり、銀行が対応してくれなかったり、相続順序の変化に対応できなくなります。
ローン付き収益物件の家族信託は、法律面と税務面の精緻な設計が求められる難易度の高い案件です。


「うちのアパートで家族信託が組めるか」
「ローンの扱いはどうなるか」
ご家族の状況をうかがったうえで、最適な設計を一緒に考えます。初回相談は無料です。
契約締結までの流れ(4フェーズ・全12ステップ)
ローン付きアパートの家族信託は、銀行・管理会社・税理士・公証役場・火災保険会社など多数の関係者との並行調整が必要です。
本件では4つのフェーズで進めました。
フェーズ1|準備(Step 1~3)
| Step 1 | 初回面談・家族会議:お父様と長男様にご来所いただき、ご家族全員が同じ認識を持てるよう調整。 |
|---|---|
| Step 2 | 必要書類の手配:固定資産税明細・確定申告書・銀行ローン明細・戸籍・印鑑証明書・通帳・管理契約書・火災保険証券などを収集。 |
| Step 3 | 財産目録の作成:信託対象のアパートだけでなく、ご自宅・その他金銭・死亡保険金まで含めた総合目録を作成し、生前対策全体を見える化。 |
フェーズ2|契約書作成と関係者調整(Step 4~6)
| Step 4 | 信託契約書(案)の作成:法律面の論点(信託目的・当事者・債務・特定委託者対策など)をすべて織り込んだ案を当事務所で作成。 |
|---|---|
| Step 5 | 管理会社への事前連絡:所有者・管理契約の主体が長男Bさんに変更される旨を説明し、契約巻き直しの準備。 |
| Step 6 | 税理士への事前連絡:信託設定時の非課税扱い、毎年の信託計算書提出、確定申告は委託者名義で継続することを共有。 |
フェーズ3|借換実行(Step 7~8)
| Step 7 | 銀行での借換申込:借換先銀行にアパートローンの借換と信託口口座開設の事前審査を申請。借換先銀行と信託口口座開設銀行は同じ。 |
|---|---|
| Step 8 | 借換実行・根抵当権設定/抹消登記:新銀行で借換を実行、根抵当権設定登記。続いて旧金融機関の根抵当権抹消登記。 |
フェーズ4|信託組成(Step 9~12)
| Step 9 | 信託契約公正証書の作成:公証役場で最終調整のうえ、公正証書として作成。 |
|---|---|
| Step 10 | 信託口口座の開設:受託者である長男様が公正証書を持参して開設(約1週間)。開設後、信託金銭500万円を入金。 |
| Step 11 | 所有権移転・信託登記:当事務所がアパートの名義をお父様から受託者長男様に変更し、同時に信託登記。 |
| Step 12 | アパートローンの免責的債務引受:銀行と免責的債務引受契約を締結し、債務者をお父様から受託者長男様に変更。 |
契約後の信託事務
受託者の長男は、信託口口座で家賃受領・ローン返済・管理会社への支払い・火災保険料の支払いを行います。
現金引出しは必要額のみとし、使途をノートやエクセルで管理してレシート・領収書を残します。
信託の目的(委託者の財産管理負担の軽減・受益者の経済的安定と福祉)から外れる支出はしないことが、受託者の最大の留意点です。
管理会社には契約書の写しを提出して管理契約を長男様名義に巻き直し、火災保険の契約者も受託者名義に変更します。
本件にかかった費用
| 項目 | 報酬(税別) | 実費 |
|---|---|---|
| ローン借換の根抵当権設定登記 | 40,000円 | 200,000円 |
| ローン借換の根抵当権抹消登記 | 20,000円 | 6,000円 |
| 家族信託の設計・契約書作成 | 1,000,000円 | ― |
| 所有権移転・信託登記 | 55,000円 | 202,000円 |
| 根抵当権債務者変更登記 | 30,000円 | 6,000円 |
| 登記情報・登記事項証明書等 | ― | 12,310円 |
| 小計 | 1,145,000円 | 426,310円 |
| 消費税(報酬分) | 114,500円 | ― |
| 合計請求額 | 1,685,810円 |
※上記とは別に、公証人手数料約5万円、銀行の信託口口座開設手数料約11万円が発生しました。
贈与税・不動産取得税の課税はいずれもありません。お見積もりは「見える化シート」とともに無料でお出ししています。
本事例から得られる4つの教訓
教訓1|ローン付き収益物件の家族信託は「借換タイミング」が追い風になる
本件は借換に伴う新銀行での信託設定だったため、銀行側にもインセンティブが働き、債務引受もスムーズに進行しました。
借換が不要なケースでは、既存銀行が信託・債務引受に消極的なこともあります。
借換の要否と銀行の対応方針を早期に確認することが、案件全体の成否を左右します。
教訓2|「特定委託者」問題を設計段階で封じる
受託者の信託変更権限を制限することで、受託者が特定委託者と認定されて予期せぬ贈与税が課される事態を防げます。
家族信託に慣れた専門家による文言設計が不可欠です。
教訓3|銀行・管理会社・税理士・公証役場との連携が案件の7割
ローン付きアパートの家族信託は、契約書作成だけでは完結しません。多数の関係者との並行調整が必要です。
窓口を一本化できる専門家に依頼することが、最短ルートです。
教訓4|信託は「作って終わり」ではなく、生前対策全体の一部
本件でも、アパートは信託、ご自宅やその他財産は遺言公正証書と、財産の性質に応じて使い分けました。
最初から「全体像」で考えることが大切な視点です。

家族信託は契約書作成だけでは完結しません。
当事務所では銀行・管理会社・税理士・公証役場・火災保険会社との連携窓口を一本化し、ご家族の負担を最小化しながら完結まで伴走します。
「うちの家族で本当に運用できるか」の見極めも含めて、ご一緒に考えましょう。
よくあるご質問(FAQ)
- Qローン付きのアパートでも家族信託はできますか?
- A
できます。ただし銀行の同意による「免責的債務引受」が必要となるため、対応可能な銀行を選び、信託契約書とリンクさせた設計を行う必要があります。借換のタイミングと重ねると進みやすくなります。
- Q信託設定時に贈与税はかかりますか?
- A
委託者と受益者が同一の「自益信託」では、信託設定時の贈与税・不動産取得税は課税されません。実質的な財産移転がないためです。
- Q「免責的債務引受」とは何ですか?
- A
債務者が交代する債務引受の一形態で、旧債務者は債務から完全に解放され、新債務者のみが責任を負います。銀行の同意が必須です。本件ではお父様が債務から外れ、受託者である長男様が新債務者となりました。
- Q信託したアパートで赤字が出たら、他の所得と相殺できますか?
- A
できません。信託財産である賃貸不動産から生じる損失は、他の所得と損益通算することができないという制限があります。大規模修繕の時期を見据えたキャッシュフロー計画が重要です。詳しくは末尾コラムをご覧ください。
- Q「特定委託者」問題とは何ですか?
- A
受託者が信託の変更権限と財産給付の両方を持つと「特定委託者」と認定され、信託設定時に贈与があったものとみなされて贈与税が課されるリスクがあります。受託者の変更権限を制限することで回避します。
岐阜・愛知で「アパート経営の承継」「家族信託」をお考えの方へ
ローン付き収益物件の家族信託は、信託契約書の設計・銀行との債務引受契約・借換・信託登記・税務対応と、押さえるべき点が多い難易度の高い案件です。
当事務所では、銀行・管理会社・税理士・公証役場・火災保険会社との連携窓口を一本化し、ご家族の負担を最小化しながらスムーズに完結させる体制を整えています。
「そろそろアパート経営を子に任せたい」「でも手続きが複雑で不安」というお気持ちでしたら、まずは無料相談で全体像の見える化からご一緒させてください。

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