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【90歳目前独居母の家族信託】施設費と空き家の不安を一気に解消した実例

【90歳目前独居母の家族信託】施設費と空き家の不安を一気に解消した実例 家族信託

岐阜県各務原市・西田司法書士事務所 司法書士 西田 博生 / 対応エリア:岐阜・愛知

母の施設入所が決まったことは嬉しいけれど、代わりに実家が空き家になるのが心配

──独居のご高齢のお母様・お父様をお持ちのご家族から、当事務所が最も多くいただくご相談のひとつです。

今現在は問題なくても、時間の経過とともに気がついたらご両親の判断能力が低下していた、ということがよくあります。

判断能力が低下してからでは、実家の売却も預金の引き出しも止まる「資産凍結」が待ち構えています。

本記事では、来月に特別養護老人ホームへの入所を控えたAさん(80代)が、90歳を目前に長男を受託者とする家族信託を組成し、「施設入所費」と「空き家問題」の二重の不安を一気に解消された実例をご紹介します。
初回相談から信託登記完了まで、家族信託を専門とする司法書士が一貫して設計・遂行しました。

この記事を読むとわかること

  • 独居のご高齢のご両親に家族信託が有効なタイミングと、具体的な効果
  • 成年後見制度と家族信託の違い、選び方の判断基準
  • 実際にかかった費用(約58万円)と、組成までの5ステップ
  • 家族信託を10年・20年と機能させるために必要な「3つの前提条件」
こんなお悩みありませんか?
  • 独居のご高齢の親が判断能力を失う前に、実家と預金の備えをしておきたい
  • 成年後見人をつけると家裁の監督下に入り、自由度が下がると聞いて不安
  • 親が施設入所した後、実家が空き家のまま売却できなくなると困る
  • きょうだい全員の納得のうえで、お元気なうちに対策したい

事例の概要|90歳を前に、今のうちに備える

ご高齢のご両親が独居となられ、数年内に施設入所を見据えるご家庭で最大のリスクは、「実家」と「預金」が同時に動かせなくなる資産凍結です。
判断能力が低下すると、ご家族の一存では実家を売却できず、預金も引き出せなくなります。

本件のAさんは80代で独居、来月に特別養護老人ホームへの入所を控えておられました。
「母がしっかりしているうちに、実家と預金の備えをしておきたい」というご長男のご相談が出発点です。

※プライバシー配慮のため、人物・地名・金額等は一部編集しています。

【Before】ご相談前のご家族の状況

ご家族の構成

委託者兼受益者Aさん(80代女性・岐阜県在住・1年前にご主人を亡くされ独居)
受託者長男(50代・長野県在住・既婚・お子様あり)
後継受託者長女(50代・岐阜県在住・既婚・お子様あり)

信託の対象となる財産】

信託対象財産評価額信託の範囲
実家の土地1,300万円全部
実家の建物(築60年)200万円全部
銀行預金1,000万円500万円のみ

預金の半分(500万円)のみを信託財産とし、残り500万円はAさんの日常生活資金としてお手元で管理される構成としました。
ご本人のお気持ちの面でも「自分のお金」が残る設計は、家族信託を長く安心して運用していただくための大切なポイントです。

母は今のところしっかりしていますが、来月に施設入所を予定しています。
判断能力が下がって、実家が空き家のまま処分できなくなると困ります。
成年後見人をつけると裁判所の監督下に入って望まない事態になると聞き、家族信託を選びました。

このまま何もしないと、どうなっていたか

初回相談では、まず「何もしない場合に起こり得ること」をご家族に率直にお伝えしました。
ご高齢のご両親の独居という本件のような状況で対策を先延ばしにすると、次の連鎖が起こります。

何もしないと待っている「最悪のシナリオ」

  • Aさんの物忘れが進むと、預金引出し・施設入所費の支払い・実家売却がすべて止まる「資産凍結」に陥る。
  • 資産凍結した後で成年後見人をつけても、家裁への年次報告、専門職後見人の報酬(月額2~6万円)、使途の必要最小限制限で、ご家族の自由度が大きく制限される。
  • 空き家となった実家は、売却できないまま固定資産税と維持管理の負担が継続する。
  • Aさんが亡くなった後も、実家について改めて遺産分割協議が必要となり、手続きが長期化する恐れがある。

【解決策】司法書士からのご提案

西田司法書士事務所では、「選択肢を並べてご相談者様自身に選んでいただく」スタイルを大切にしています。
今回はご希望を伺った上で2つの選択肢を比較しました。

選択肢メリットデメリット
成年後見判断能力低下後も財産管理が可能・家庭裁判所への年次報告が必要
・専門職後見人が選任されると月額2~6万円程度の報酬が必要
・実家を売却する際には家庭裁判所の許可が必要
・財産の使用用途は必要最小限に制限される
家族信託・元気なうちから受託者が動ける
・家庭裁判所の監督がないため自由度が高い
・実家売却・費用支出の柔軟性がある
・遺言代わりにもなる
・初期設定に専門家費用・公正証書費用が必要なため、初期費用が高い
・受託者のリテラシーと家族の信頼が大前提

ご相談の結果、ご家族の総意で家族信託を選ばれました。

お元気なうちに組成しておくことで、成年後見の実務負担を回避しつつ、その後の選択肢を大きく広げることができます。

もう一歩先へ|
成年後見の「実務負担の重さ」を知っていますか
成年後見制度は本人保護を目的とする家裁の監督制度です。

実務の現場では、毎年の収支報告書の提出、財産の使途をすべて「本人のため」に限定する運用、ご自宅売却のたびに家裁の許可が必要となる手続的負担が発生します。
専門職後見人が選任されると、月額2~6万円の報酬がご本人の預金から継続的に支出されます。

「成年後見が悪い」ということではなく、判断能力が低下してからの選択肢としては、こうした実務負担を含めた制度だと理解したうえで、家族信託・任意後見・法定後見のどれが最適かを、お元気なうちに比較検討することが大切です。

初回60分無料・お問い合わせはこちらから
058-322-3203

「うちのケースで家族信託が使えるか」「成年後見と比べてどうなのか」──ご家族の状況をうかがったうえで、最適な選択肢を一緒に考えます。
初回相談は無料です。

【実行】家族信託組成までの5ステップ

Step 1|初回相談・必要書類の準備

ご家族の意向・現状・財産状況をうかがい、戸籍謄本・印鑑証明書・固定資産税評価証明書・通帳・登記済証などをご準備いただきました。
初回相談では「見える化シート」をお渡しし、手続きの全体像と費用を一枚で把握いただけるようにしています。

Step 2|信託契約書の作成と銀行リーガルチェック

信託契約書(案)を司法書士が作成し、ご家族にご説明。
信託口口座を開設する銀行に事前申込を行い、銀行指定の弁護士によるリーガルチェックを受けました。
家族信託実務のなかでも、もっとも時間と調整を要する工程です。

Step 3|施設への出張対応で公正証書を締結

公証人と司法書士がAさんのいる施設に出張し、Aさんと長男の間で信託契約公正証書を締結しました。
高齢で移動が難しい場合でも、出張対応で問題なく締結できます。

Step 4|信託口口座の開設・信託登記・信託金銭の入金

長男が銀行で口座開設の正式申込を行い、並行して司法書士が法務局へ所有権移転・信託登記を申請。
約1週間後に口座が開設され、信託金銭500万円を入金して組成が完結しました。

Step 5|火災保険の契約者名義変更

信託登記により実家の名義が受託者の長男に変わるため、火災保険(地震保険含む)の契約者名義も長男に変更しました。
この手続きを怠ると、将来の保険金請求がスムーズに進まないリスクがあります。
保険料は信託金銭から支出する運用としました。

【After】解決後の変化とご家族の安心

家族信託で何がどう変わったか(Before/After)

場面Before(何もしない場合)After(家族信託を組成)
施設入所費の支払い親の判断能力低下後は預金が引き出せない受託者が信託金銭から単独で支出可能
空き家になった実家売却できず固定資産税と管理負担が継続受託者の判断で売却し入所費用に充当
家庭裁判所の関与成年後見になれば年次報告と売却許可が必要家裁の監督なし、家族の自由度を確保
親が亡くなった後実家について改めて遺産分割協議が必要信託終了で残余財産受益者へ自動的に移転

ここが最大の成果

お元気なうちに公正証書で家族信託を結ばれたことで、今後Aさんの判断能力が低下されても、長男が単独で「実家売却・施設入所費用の支払い・介護費用の給付」まで一気通貫で対応できる体制が整いました。
「成年後見を避けてご家族の自由度を保ちたい」というご希望が、法律の正しい仕組みで実現しています。

本件にかかった費用

項目報酬(税別)実費
家族信託の設計・契約書作成350,000円
戸籍代行取得(6通)15,000円1,800円
公証人手数料(出張対応含む)72,950円
所有権移転・信託登記50,000円44,900円
事前登記情報・登記事項証明書3,735円
小計415,000円123,385円
消費税(報酬分)41,500円
総合計
579,885円

※贈与税・不動産取得税の課税はいずれもありません。お見積もりは初回ご相談時に「見える化シート」とともに無料でお出ししています。

家族信託を「長く機能させる」3つの前提条件

家族信託は自由度の高い制度ですが、仕組みを作れば自動的に動くものではありません。
長期にわたり機能するためには、ご家族側に次の3つの前提が揃っていることが不可欠です。
当事務所では、この3つが揃うかを見極めたうえで組成をご提案しています。

前提1|「受益者のため」という信託目的の範囲内で運用できること

家族信託は、ご本人(受益者)のために受託者が財産を管理する制度です。
「自由度が高い」とは「何をしてもよい」という意味ではなく、「ご本人のために誠実に判断する自由」のことです。

前提2|受託者に信託事務を担うリテラシーがあること

受託者は、信託口口座の管理、年次の収支計算書作成、信託財産と固有財産の分別管理、領収書の保存などを継続的に行います。

「記録を残す習慣」「期限を守る几帳面さ」「分からないことを専門家に相談する素直さ」の3つが不可欠です。

前提3|ご家族の信頼関係

受託者以外のご家族から見れば「受託者を信頼して任せる」構図です。
信頼関係が崩れると、法的に問題がなくても家族関係そのものが壊れかねません。
本件はAさん、長男、長女の3人でじっくり話し合い、長女が心から納得されていたことが最大の土台でした。

家族信託は「制度の設計」と「ご家族の前提条件」の両輪で成り立ちます。
当事務所では契約書の法律論だけでなく、ご家族の関係性・受託者候補のご性格・運用イメージまで丁寧にうかがったうえで、組成するかどうかを一緒に考えます。
「家族信託が使えるご家族かどうか」の見極めも、専門家の大切な役割だと考えています。

本事例から得られる4つの教訓

教訓1|独居のご両親こそ、お元気なうちに

判断能力がしっかりしているうちに契約を結べば、その後ご家族の自由度が大きく広がります。
「まだ大丈夫」と先延ばしにしている間に判断能力が低下し、家族信託そのものが組成できなくなるケースは、実務でもっとも残念な事例です。

教訓2|成年後見の実務負担を家族信託で回避できる

家裁への年次報告、専門職後見人の選任リスク、自宅売却の家裁許可、使途の必要最小限制限──これらの負担は、お元気なうちに家族信託を組んでおくことで回避できます。

教訓3|家族信託は「制度」ではなく「家族の信頼」が支える

受託者が誠実に記録・管理を続けること、他のご家族がそれを信頼すること、全員が「受益者のため」という原点を見失わないこと──この3つが揃って初めて、信託は長期的に機能します。

教訓4|後継受託者の指定と、信託外財産の遺言カバー

本件では長男Bさんを受託者、長女Cさんを後継受託者に指定。Bさんに万一のことがあっても信託が止まらない体制を整えました。信託対象外の預金500万円については、別途遺言を作成することで生前対策全体を隙間なくカバーできます。

よくあるご質問(FAQ)

Q
家族信託はいつ組成するのがベストですか?
A

判断能力がしっかりしているうちに組成することが大前提です。
目安としては70代からご検討を始められることをおすすめします。
本件のように80代で施設入所を目前にされているご家族の場合、すぐに動かれることで十分間に合います。
判断能力が低下してしまうと家族信託そのものが組成できず、法定後見しか選べなくなります。

Q
家族信託と成年後見、結局どちらが良いのでしょうか?
A

お元気なうちであれば、ご家族の状況に合う方を比較して選べます。
財産管理の柔軟性・家裁の関与の有無・継続報酬の有無を重視される方は家族信託、身上監護を含む公的な代理権を重視される方は任意後見、判断能力が既に低下している方は法定後見──このように状況で使い分けるのが実務です。
家族信託と任意後見を組み合わせる設計も広く行われています。

Q
受託者になる家族がいない場合、家族信託は組めますか?
A

家族信託は「信頼できる家族に財産を託す制度」のため、適切な受託者候補がいないご家庭では組成が難しくなります。
このような場合は、任意後見契約と遺言公正証書を組み合わせる設計、信頼できる甥姪との養子縁組など、別の選択肢をご家族と一緒に検討します。

Q
信託を組んだ後、実家を売却するのに家裁の許可は必要ですか?
A

必要ありません。
家族信託では、受託者が信託契約書に定められた権限の範囲内で、単独の判断で実家を売却できます。
成年後見制度のように家裁の許可を都度取得する必要がなく、タイミングを逃さずに売却できる点が家族信託の大きな利点です。

Q
家族信託にかかる費用はいくらくらいですか?
A

ご家族の構成・信託財産の内容・不動産の評価額によって変わります。
本件のように実家と預金500万円を信託する標準的なケースで、総額58万円程度が目安です。
お見積もりは「見える化シート」とともに、初回無料相談時に提示しています。

用語解説

家族信託
信頼できるご家族に財産の管理・処分を託す制度。ご本人(委託者兼受益者)のために受託者が管理します。
委託者・受託者・受益者
委託者は財産を託す人(=ご本人)。受託者は託された財産を管理する人(=ご家族の代表)。
受益者は財産から利益を受ける人(=ご本人)。
本件のような自益信託では委託者と受益者は同一人です。
信託口口座(しんたくぐちこうざ)
受託者が信託財産の金銭を管理するために開設する、受託者の固有財産とは分別された専用口座。
信託対応のある金融機関でのみ開設できます。
後継受託者
現受託者が死亡・病気などで業務を続けられなくなった場合に、受託者の地位を引き継ぐ次順位者。信託契約書であらかじめ指定します。
残余財産受益者
信託終了時に残った財産を受け取る人。遺言と同じように、信託財産の最終的な承継先を信託契約で決めておけます(遺言代用信託)。
資産凍結
認知症などで判断能力が低下した方の預金引出しや不動産売却が、金融機関・不動産取引の実務上ストップしてしまう状態。
成年後見制度の利用が実質的に唯一の打開策になります。
成年後見制度
判断能力が低下した方の財産管理・身上監護を家庭裁判所の監督下で行う公的制度。法定後見は事後的、任意後見は事前的に選任します。
見える化シート
当事務所オリジナルの初回相談ツール。ご家族の状況・財産・想定リスク・費用見積もりを一枚に整理し、全体像を一目で把握いただけます。

岐阜・愛知で「独居のご両親の家族信託」をお考えの方へ

ご両親が独居となられ、数年内に施設入所を見据えておられる──このタイミングは、家族信託をご検討いただくのにもっとも意味のあるタイミングです。
判断能力がしっかりしているうちに手を打っておくことで、その後10年・20年にわたってご家族の選択肢を大きく広げることができます。

相続・家族信託は、ご家族の数だけ事情がある、量産化のできないオーダーメイドの分野です。
西田司法書士事務所では、初回相談から契約書設計、公正証書締結、信託登記まで、司法書士・西田博生が一貫してご担当します。
所内で情報が薄まることなく、スピードと品質を両立させる体制でお応えいたします。

当事務所は、
①円満相続については効率よい手続
②疎遠・複雑な相続については出来る限りの対処療法
③資産の凍結を防ぎたい・相続トラブルを予防したいご家族には家族信託・遺言・生前贈与などの生前対策
ご提案・ご提供することにより、皆様の安心・円満な相続と有効な資産の利活用にお役立ちすることを使命としております。

ご相談・ご依頼を心よりお待ち申し上げております。

専門家のワンポイント解説

① 契約書設計の要点

  • 委託者=受益者の自益信託。受託者:長男Bさん/後継受託者:長女Cさん。
  • 受託者の権限に「実家の売却」を明記。判断能力低下後も、家裁の許可を待たずに売却・入所費充当が可能。
  • 残余財産受益者はB・C各1/2(遺言代用信託)。信託外の預金500万円は別途遺言でカバー。

② 税務の要点|一般原則(個別判断は税理士へ)

  • 自益信託のため、信託設定時の贈与税・不動産取得税は非課税。
  • 登録免許税は信託登記部分のみ課税対象(本件44,900円)。
  • 翌年度以降の固定資産税通知は受託者Bさん宛てに届き、納税は信託金銭から充当。
  • 将来売却時は、居住用3,000万円控除/空き家特例の適否を税理士と要協議。
司法書士 西田博生

この記事を書いた人

司法書士 西田 博生 (にしだ ひろき)

西田司法書士事務所 代表。岐阜県司法書士会所属(登録番号第657号)、簡裁訴訟代理等関係業務認定(第418150号)。2013年開業、相続・家族信託を専門とし、岐阜・愛知エリアで地域密着のサポートを行う。