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【両親ともに施設入所、実家をどうする?】家族信託と遺言で不安を解決!老老相続に備えた実例

【両親ともに施設入所、実家をどうする?】家族信託と遺言で 不安を解決! 老老相続に備えた実例 家族信託


岐阜県各務原市・西田司法書士事務所 司法書士 西田 博生 / 対応エリア:岐阜・愛知

高齢の両親が揃って施設へ入所した後、「空き家となった両親共有名義のご自宅」「両親が管理している不動産」などが将来的に両親どちらかの判断能力低下により動かなくなるリスクに備えたい──こうしたご相談が、当事務所でも年々増えています。

さらに、ご夫婦そろってご高齢の場合は「どちらが先に逝かれるか分からない」という老老相続のリスクまで視野に入ります。

本記事では、特別養護老人ホームに入所されたご夫婦(ともに80代・判断能力はしっかりあり/足が不自由)が、それぞれに「家族信託+遺言公正証書」を組成し、1日でまとめて締結された実例をご紹介します。

共有不動産・老老相続・ご本人の心理的配慮まで一気通貫で設計した、当事務所らしい総合生前対策の事例です。

この記事を読むとわかること

  • ご夫婦共有のご自宅を、片方が判断能力を失っても売却できるようにする設計
  • 「老老相続」に備える二次受益者の場合分け条項の具体的な書き方
  • 家族信託と遺言公正証書を「二刀流」で組み合わせる意義
  • ご本人が感じる「自分のお金でなくなる」不安への向き合い方
  • ご夫婦分で総額約115万円の費用内訳
こんなお悩みありませんか?
  • ご両親が施設に入所されたが、空き家となった実家や預金、他県の不動産の管理が心配
  • ご夫婦そろってご高齢で、どちらが先に逝かれるか分からない。「老老相続」のリスクに備えたい
  • 夫婦共有名義の自宅を、将来どちらかが認知症になっても売却できるようにしておきたい
  • 家族信託に取り組める司法書士事務所を探しているが、近隣でなかなか見つからない

事例の概要|施設入所後の財産管理と老老相続

本件は高齢になった両親の財産管理に不安を覚えた三姉弟(長女・長男・二男)からのご相談が出発点でした。
ご両親はともに判断能力はしっかりしているものの、足が不自由になられ、現在は揃って施設に入所されています。

ご両親が施設入所されたことで、実家は空き家になってしまいました。
現在はまだそのまま保存していますが、将来的に売る可能性も視野に入れています。
また、父親が他県に所有している不動産もあります。

いづれは両親の判断能力が衰えてくるのではと思います。
そうなった時、何も対策を取っていないと、空き家となった実家の処分や他県のアパートの管理に支障が出るのではと心配しています。

※プライバシー配慮のため、人物・地名・金額等は一部編集しています。

家族構成の説明

ご夫婦の財産

財産評価額名義
実家の土地建物
(固定資産税評価額)
700万円父の持分2/3+母の持分1/3
他県の貸家建付地と貸家2,000万円父の単独
父の銀行預金(7口座)4,000万円父の単独
母の銀行預金(2口座)300万円母の単独

ご心配の通り、将来的にご両親の判断能力が低下した場合、資産凍結の可能性があります。
リスクを防ぐためにも、早めの対策がオススメです。

家族信託+遺言公正証書の合わせ技で解決!

本件のようなケースは、「一つの制度ではカバーしきれない」ことが大きなポイントです。
複数の制度を用いることで、合わせ技で対策漏れを防ぎ、スムーズな代替わりへ導きます。


初回相談では当事務所の「見える化シート」を用いて、手続きの全体像と費用一覧をご家族にご説明しました。
本件の設計には、次の3つの見極めポイントがありました。順にご説明します。

見極め1|信託する財産・しない財産の選別

ご両親にはご自宅や預金など、数種類の財産があります。
これら全てを家族信託で解決すればよいか・・・というと、そうではありません。

息子たちに財産管理を任せたい気持ちはあるけれど、自分の自由に使えるお金がなくなってしまうのが不安だわ・・・

多くの方がこのようなご不安を持たれます。
当事務所では、こういったご不安に寄り添いながら、かつ将来のリスクに備えた財産管理を行っています。

全てを信託財産にせず、ご両親のお手元に残す財産を作ります。
これを遺言書でカバーすることで、将来的にも安心な相続設計ができます。

財産信託に入れる遺言でカバー
両親共有の実家(2/3+1/3)○ 全持分
父の預金4,000万円○ 1,000万円のみ○ 残り3,000万円
母の預金300万円○ 100万円のみ○ 残り200万円
父の他県の貸家建付地・貸家× 信託せず× 年内に売却予定

他県の収益物件は年内売却予定のため信託に入れず、現状のまま売却を進める方針としました。

預金も全額ではなく、施設の支払いと将来管理に必要な分のみを信託し、残りはお手元に残してご夫婦のお気持ちの面でも安心できる構成としました。

見極め2|共有の実家を「一括で」信託する

実家は父親が2/3、母親が1/3の共有不動産でした。
共有不動産は処分時に共有者全員の同意が必要となるため、父母どちらか一人判断能力を失うと売却が止まる典型的なリスク財産です。

本件では、父・母それぞれが委託者となる「2本の信託契約」を同日に結び、両持分を長男の管理下に集約しました。
これにより、どちらが先に判断能力を失われても、長男が単独で実家全体を処分できる体制が整います。

見極め3|老老相続を見据えた「二次受益者の場合分け」

ご両親ともに80代のため、どちらが先に亡くなるか分かりません。
父の信託契約には、次のように二次受益者を場合分けする条項を入れました。

父死亡時の状況二次受益者
母(妻)が生存していたとき母 → 母が亡くなったら直系卑属(法定相続分)
(妻)が既に死亡していたとき直接父の直系卑属(法定相続分)
信託の終了事由両親双方の死亡から3か月経過時

この設計により、ご夫婦のどちらが先に逝かれても、信託契約は宙に浮くことなく機能を続け、最終的にお子様方に円滑に承継されます。

司法書士の視点

信託に入れるお金は『ご本人のため』に使うお金で、贈与ではありません。

家族信託は『財産をご家族に渡してしまう』制度ではなく、『ご本人のために代わりに管理してもらう』制度。
この本質をご本人がご理解されていることが、家族信託を長く機能させる土台になります。
当事務所ではこうした微妙なニュアンスを逃さないよう心がけています。

もう一歩先へ|「老老相続」をなぜ信託設計で織り込むのか

ご夫婦そろって80代となると、どちらが先に逝かれるかは医学的にも予測できません。
信託契約で二次受益者を「存命時」「死亡時」と場合分けしないまま組成すると、予定と逆の順で相続が起きた場合に信託契約が宙に浮いたり、追加の変更契約が必要になったりする可能性があります。

「老老相続」は単なる俗語ではなく、契約書にどう条項を織り込むかという実務上の論点です。
ご夫婦高齢のケースでは必ず検討すべき設計ポイントのひとつです。

初回60分無料・お問い合わせはこちらから
058-322-3203

「ご夫婦の共有自宅をどう守るか」「老老相続にどう備えるか」──ご家族の状況をうかがい、家族信託と遺言の最適な組合せを一緒に考えます。

施設・ご自宅への出張対応も可能。
初回相談は無料です。

【実行】契約締結までの6ステップ

Step 1|事前資料・初回相談・スキーム決定

初回相談に先立ち、長男から両親の財産資料(固定資産税明細・通帳)をメールでお送りいただきました。
初回相談には長女・長男・二男、ごきょうだい揃ってご来所いただき、家族信託の仕組み・見える化シート・スキーム案を約2時間でご検討いただき、ご家族全員が納得できる仕組みを提案しました。

Step 2|ご本人面談と契約内容の確定

両親の入所先施設にうかがい、契約内容を直接ご説明。「自由に使えるお金がなくなるのでは・・・」というお母様の心理的不安にも丁寧にお応えし、契約内容を確定しました。

Step 3|銀行のリーガルチェックと公証役場との調整

信託口口座を開設する銀行に事前申込を行い、銀行指定の弁護士によるリーガルチェックを2契約分まとめて受けました。
チェック通過後、契約書を公証役場に送信して確認を得ました。

Step 4|施設出張による信託契約+遺言公正証書の同日締結

公証人と司法書士がご入所施設にうかがい、ご夫婦それぞれの信託契約公正証書と遺言公正証書を同日に締結。
ご本人のご負担を1日に集約しました。

Step 5|信託口口座開設・信託登記・入金

同日午後、長男が銀行で2契約分の信託口口座開設の正式申込を行い、並行して当事務所が法務局へ父持分2/3+母持分1/3の所有権移転・信託登記を申請。
約1週間後に口座開設が完了し、信託金銭(父親分1,000万円+母親分100万円)を入金して組成完結しました。

Step 6|火災保険の契約者名義変更

信託登記により実家の名義が受託者長男に変わるため、火災保険(地震保険含む)の契約者名義も長男に変更。
怠ると保険金請求がスムーズに進まないリスクがあります。保険料は信託金銭から支出します。

【After】解決後の変化とご家族の安心

家族信託+遺言で何がどう変わったか

場面Before(何もしない場合)After(家族信託+遺言)
空き家となった実家の処分共有者の片方が判断能力を失うと売却が止まる受託者Dさんが2/3+1/3全持分を単独で処分可能
施設入所費の支払い判断能力低下後は預金が引き出せない信託金銭から受託者が単独で支出可能
どちらかが先に逝かれた場合信託契約や財産の宙づりリスクあり二次受益者の場合分けで契約が機能継続
信託に入れない財産の承継相続発生時に遺産分割協議が必要遺言公正証書で承継先を事前に確定
ご本人の心理的負担「全財産を渡す不安」を感じやすい必要分のみ信託、残りは手元に残せる

ここが最大の成果

ご夫婦それぞれの家族信託+遺言を1日でまとめて締結し、共有の実家・必要な預金・遺言でカバーする残余財産まで、生前対策の全体像が一気通貫で整いました。
ご夫婦のどちらが先に逝かれても、長男が受託者・遺言執行者として一貫して対応できる体制が整っています。

本件にかかった費用

父親分

項目報酬(税別)実費
家族信託の設計・契約書作成350,000円
信託口口座開設費用110,400円
公証人手数料(信託)54,450円
所有権移転・信託登記50,000円15,000円
事前登記情報・登記事項証明書1,702円
遺言公正証書 文案作成・証人立会1名70,000円
公証人手数料(遺言)・証人1名110,000円
消費税(報酬分)47,000円
父親分 合計(税込)
808,552円

母親分

項目報酬(税別)実費
家族信託の設計・契約書作成100,000円
信託口口座開設費用110,400円
公証人手数料(信託)24,700円
遺言公正証書 文案作成・証人立会1名50,000円
公証人手数料(遺言)・証人1名45,000円
消費税(報酬分)15,000円
母親分 合計(税込)
345,100円

ご夫婦合計:1,153,652円(税込)

お母様分はご自宅持分が小さく信託金銭も100万円のみのため、お父様分と比べて費用が大幅に抑えられています。
お見積もりは「見える化シート」とともに無料でお出ししています。

よくあるご質問(FAQ)

Q
夫婦共有の自宅を家族信託に入れるには、どうすればよいですか?
A

ご夫婦それぞれが委託者となる「2本の信託契約」を同日に結び、両持分を同じ受託者の管理下に集約するのが実務の定石です。
1本の契約でまとめようとすると、委託者が2名になり税務・契約解釈上の問題が生じるため避けます。2契約を同じ受託者に集約することで、将来どちらが認知症になっても受託者が単独で売却できる体制が整います。

Q
「老老相続」とはどういう意味ですか?
A

ご夫婦そろってご高齢の状態で、どちらが先に亡くなるか分からない相続状況を指す俗称です。
ご夫婦ともに80代の本件のように、想定と逆の順で相続が発生する可能性があるため、信託契約の二次受益者を「配偶者生存時」「既に死亡時」で場合分けしておくのが実務上の備えです。

Q
家族信託と遺言、両方必要なのですか?
A

信託財産は信託契約で承継先が決まりますが、信託に入れていない財産は遺言でカバーする必要があります。
本件のように他県の収益物件や預金の大部分を信託に入れない設計の場合、遺言公正証書を同時に作成することで、相続発生時の遺産分割協議を回避できます。
信託と遺言は「補完関係」で組み合わせるのが現実的です。

Q
施設に入所している親の公正証書は、どこで作成しますか?
A

公証人が施設まで出張して作成する「出張対応」が可能です。
本件のようにご本人が足が不自由で外出が難しい場合でも、施設の面会室や個室で信託契約公正証書・遺言公正証書を締結できます。出張手数料は加算されますが、ご本人の負担は大幅に軽減されます。

Q
信託金銭として必要な金額はどう決めるのですか?
A

(1)施設入所費の数年分、(2)税金・保険料の継続的支出、(3)実家の管理費(固定資産税・修繕費等)──この3つを合算し、さらに想定売却までの期間を掛けて算出します。
本件ではAさん分1,000万円・Bさん分100万円としましたが、ご家族の状況によって変わります。
信託金銭は多すぎても少なすぎても不都合があるため、見える化シートで具体的に設計します。

用語解説

本記事に登場する専門用語を、一般の方向けに簡潔にまとめます。

家族信託
信頼できるご家族に財産の管理・処分を託す制度。ご本人(委託者兼受益者)のために受託者が管理します。
共有不動産
複数の所有者が持分割合で所有する不動産。
処分には原則として全員の同意が必要で、一人でも判断能力を失うと売却が止まります。
二次受益者
当初の受益者が亡くなった後に、信託財産から利益を受ける次順位の受益者。信託契約で複数の場合分けを設定できます。
受益者連続型信託
受益者を複数世代にわたり連続して指定する信託形態。
「ご本人 → 配偶者 → お子様」といった承継順位を信託契約で決められます。
遺言公正証書
公証人が作成する遺言書。家庭裁判所の検認が不要で、偽造・紛失のリスクがなく、相続発生時にそのまま執行できます。
遺言執行者
遺言の内容を実現するために手続きを行う人。
本件では信託受託者と同じ方を遺言執行者に指定し、一貫した執行を確保しています。
老老相続(ろうろうそうぞく)
ご夫婦そろってご高齢の状態で、どちらが先に亡くなるか予測できない相続状況を指す俗称。
信託契約の場合分け条項で備えます。
見える化シート
当事務所オリジナルの初回相談ツール。ご家族の状況・財産・想定リスク・費用見積もりを一枚に整理し、全体像を一目で把握いただけます。

岐阜・愛知で「ご夫婦の家族信託」「老老相続対策」をお考えの方へ

ご両親そろってご高齢で施設入所をご検討されている、共有のご自宅が動かなくなる前に手を打ちたい、ご夫婦のどちらが先に逝かれても困らない設計にしたい──こうしたご相談は、当事務所が特に力を入れている分野のひとつです。

相続・家族信託は、ご家族の数だけ事情がある、量産化のできないオーダーメイドの分野です。
西田司法書士事務所では、初回相談から契約書設計、公正証書締結、信託登記まで、施設・ご自宅への出張対応も含めて、司法書士・西田博生が一貫してご担当します。

当事務所は、
①円満相続については効率よい手続
②疎遠・複雑な相続については出来る限りの対処療法
③資産の凍結を防ぎたい・相続トラブルを予防したいご家族には家族信託・遺言・生前贈与などの生前対策
ご提案・ご提供することにより、皆様の安心・円満な相続と有効な資産の利活用にお役立ちすることを使命としております。

ご相談・ご依頼を心よりお待ち申し上げております。


専門家のワンポイント解説

① 契約書設計の要点

  • ご夫婦それぞれが委託者=受益者となる自益信託を2本組成(共有持分2/3と1/3を別契約で信託)。
  • 受託者:長男/後継受託者:二男。信託終了事由は両親双方の死亡から3か月経過時。
  • 二次受益者は「場合分け」で設計(母生存時は母→直系卑属/先死亡時は父の直系卑属)。老老相続に対応。
  • 信託に入れない他県不動産・預金の大半は、ご夫婦それぞれの遺言公正証書で承継先を指定(二刀流)。

② 税務の要点|一般原則(個別判断は税理士へ)

  • 2本とも自益信託のため、信託設定時の贈与税・不動産取得税は非課税。
  • 家賃収入なしのため信託に伴う確定申告は不要。固定資産税通知は受託者長男宛てに届く。
  • 信託外の他県収益物件は年内売却予定。譲渡所得税の申告可否は税理士と個別協議。
司法書士 西田博生

この記事を書いた人

司法書士 西田 博生 (にしだ ひろき)

西田司法書士事務所 代表。岐阜県司法書士会所属(登録番号第657号)、簡裁訴訟代理等関係業務認定(第418150号)。2013年開業、相続・家族信託を専門とし、岐阜・愛知エリアで地域密着のサポートを行う。