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【40年放置の空き家を整理】祖父名義の家がそのまま…全国に散らばる相続人、数次相続を解決

【40年放置の空き家を整理】祖父名義の家がそのまま・・・全国に散らばる相続人、数次相続を解決 相続

岐阜県各務原市・西田司法書士事務所/司法書士 西田 博生 対応エリア:岐阜県・愛知県

相続手続きをしないまま長年放置されている土地があるけど、あれってそのままだとやっぱり駄目だよね・・・

大正・昭和初期産まれの祖父母世代は、兄弟姉妹が多い上に相続に備えていたご家庭も少なかったため、相続登記がされないまま放置されている土地が残っていることは珍しくありません。

2024年4月から相続登記が義務化されたことはご存知ですか?
義務化以前に発生した相続不動産も対象であり、正当な理由なく放置すれば10万円以下の過料が科される可能性があります。

何代も前の先祖名義の不動産を放置しておくことは、将来の大きなトラブルの種となります。
その上、放置されている年月が長くなればなるほど、年数に比例して相続人がどんどん増えていき、解決もより難しくなっていきます。

本事例で取り上げるのは、40年以上前に亡くなった祖父名義のまま放置されていた愛知県の空き家です。
戸籍を遡ると相続人は10名に膨らんでいましたが、当事務所からの「中立の手紙」と「換価分割」により、約1年で整理しました。その全容をご紹介します。

※プライバシーへの配慮のため、人物・地名・金額等は一部編集しています。

こんなお悩みありませんか?
  • 祖父母の代から名義変更されていない空き家・空き地が放置されている
  • 誰も住んでいないのに固定資産税だけ毎年払い続けている
  • 雑草・樹木・老朽化で近所から苦情が来ている
  • 親戚が多く、誰にどう連絡すればよいか見当もつかない
  • 高齢のご親族がいて、認知症が進む前に整理したい

この記事を読むとわかること

  • 数次相続で相続人が10名に膨らむ「放置リスク」の実態
  • 疎遠な親戚に警戒感を与えずに合意を得る「中立の手紙」の効果
  • 誰も使わない不動産を公平に現金化する「換価分割」の手順
  • 売却代金約950万円を分配した実際の内訳と司法書士費用
  • 2024年施行・相続登記義務化への対応方法

誰も住んでいない家の相続

岐阜県にお住まいの40代男性からのご相談です。

子どもの頃によく遊びに行った母の実家が、祖父名義のまま放置されています。
祖父は40年以上前に亡くなっており、その子孫は母を含めみんな家を出ているので、母の実家には現在は誰も住んでおらず空き家となっています。

祖父が亡くなった後は母が固定資産税を払っていましたが、その母も亡くなり、今は孫であるわたしがその役目を担っています。

固定資産税だけが毎年発生している状況で、管理も行き届いていないので近隣からは雑草や老朽家屋への苦情も届いていて、どうにかしなくては・・・と一念発起し相談に来ました。

叔父叔母も高齢で、亡くなっている方もいて、わたしのように孫世代が相続人になっているところもあり、解決するのが難しそうです・・・。

祖父の戸籍を遡ると、相続人は10名にまで膨らんでおり、居住地も全国に分散していました。
このような場合、ご自身で解決するには難易度が高く、専門家に依頼することをオススメしています。

被相続人祖父(40年以上前に死亡)
対象不動産築60年の未登記家屋+土地(愛知県)
相続人合計10名(全国に分散/うち1名は当時90歳)
放置期間40年以上
年間負担固定資産税 約10万円/年
ご相談者Eさん(祖父から見て孫・岐阜県在住)

急いで合意を取る

祖父が亡くなった時にすぐに相続登記していれば、相続人は祖母とその子である母の兄弟姉妹のみで済みました。
ところが、誰が家を相続するのかはっきりしないまま年月がたち、祖母や叔父叔母が亡くなり、孫世代が続々と相続人になっていました。
これが「数次相続」で、放置するほど相続人がねずみ算式に増えていく典型例です。

このまま放置し続ければ、ひ孫、玄孫とどんどん世代が進み、相続人の数もどんどん増えて解決がより困難になってしまいます。

さらに、相続人の一人である伯母は90歳。
現在は判断能力がある状態ですが、もし相続人全員の合意を取り付けている間に伯母の判断能力が低下した場合は家庭裁判所で成年後見人を選任する必要が生じ、時間も費用も大きく膨らみます。

「伯母が元気なうちに合意をまとめる」ために、できるだけ急ぐ必要がありました。

当事務所が提案した解決策

本件の設計は2点に集約されます。①中立の手紙で警戒感を解き、②換価分割で全員の取り分を現金に変える、という流れです。

Step 1|相続人9名へ「中立の手紙」と3つの選択肢のご案内

利害関係のない第三者である司法書士から、相続人9名全員へ手紙を送付しました。
司法書士が中立公平な立場で関与することを最初に明示し、警戒感を和らげたうえで、回答書に3つの選択肢を示しました。

  1. 相続分譲渡(辞退)…相談者様へ自身の相続分を無償で譲渡し、相続手続きから離脱。
  2. 代償分割…相談者様が不動産を単独取得し、一定額の代償金を受け取る
  3. 換価分割…相談者様が代表で取得後、家屋を解体・整地のうえ売却。経費控除後の残額を相続分に応じて分配(各自で確定申告)

相続人からの回答

  1. 相続分譲渡(辞退):3名(相談者様にすべてお任せ)
  2. 代償分割:0名
  3. 換価分割を希望:6名

Step 2|遺産分割証明書で合意を書面化

相続人が全国に分散している場合は、一堂に会して1枚の協議書に署名する方式より、各人が個別に署名・押印できる「遺産分割証明書」を用いる方が効率的です。

証明書には次の4点を明記しました。

  • 相談者様が換価分割のため便宜上すべての不動産を代表取得すること
  • 相続登記後すみやかに家屋を解体し売却すること
  • 売却代金から経費を控除した残額を所定の割合で分配すること
  • 相続手続費用は相談者様が負担すること

Step 3|相続登記→解体→測量→売却→分配をワンストップで実行

  • 築60年の未登記家屋の解体と、室内残置物等の処分
  • 隣地との境界確定測量(売却に必要な測量図の作成)
  • 買主との売買契約の締結
  • 残代金決済時に、証明書の割合どおり各相続人の口座へ直接振込

専門家のワンポイント解説|換価分割は文言設計で税務リスクが決まる

代表者単独名義で売却する換価分割では、遺産分割協議書(証明書)に次の2点を必ず明記します。

  • 換価分割を目的とした登記であること
  • 売却代金から諸費用を控除した残額の分配割合

この記載がないと、代表者から他の相続人への分配が「贈与」とみなされ、贈与税が課されるおそれがあります。

解決後の変化(After)

ご依頼から約1年。
90歳の伯母がお元気な間に9名全員の合意を得て、家屋の解体・売却・分配まで完了しました。
ビフォー・アフターで本件のゴールを確認します。

項目Before(ご相談時)After(解決後)
名義40年以上前に亡くなった祖父名義売却完了・買主名義に移転済み
相続人戸籍を遡ると全国に合計10名9名から1か月以内に合意取得
不動産の状態築60年の未登記家屋+雑草繁茂家屋解体・整地・売却完了
年間負担固定資産税 約10万円/年ゼロ
分配経費控除後 約950万円を分配
解決期間ご依頼から約1年

40年動かなかった空き家が、約1年で全員が納得する現金へと整理され、固定資産税の負担もゼロになりました。
ご高齢の伯母さまがお元気なうちに合意形成できたことが、何よりの成果です。

売却代金と分配の内訳

売却代金と経費

項目金額
土地売却価格15,000,000円
固定資産税精算金(日割り清算)20,000円
収入合計15,020,000円
解体・残置物処分・整地△5,000,000円
境界確定測量費用△500,000円
売渡費用(登記費用等)△11,000円
分配原資(差引)9,509,000円

各相続人への分配額

相続人分配割合分配額
10分の1950,900円
10分の1950,900円
10分の21,901,800円
10分の1950,900円
E(依頼者)10分の32,852,700円
10分の1950,900円
10分の1950,900円
合計10分の109,509,000円

司法書士費用(参考)

項目報酬(税別)実費
戸籍取得38通95,000円22,600円
登記情報調査993円
照会文書の作成・発送代行(9名分)80,000円
遺産分割証明書 作成・発送代行77,000円
相続登記65,000円48,000円
事後登記情報993円
消費税31,700円
総額(税込・司法書士分)421,286円

※上記は司法書士費用のみです。解体・測量等は別途、上記「経費」欄のとおり発生しています。

本事例から得られる4つの教訓

① 数次相続は、放置するほど相続人が増える

最初の相続を整理しないまま次の世代に持ち越すと、相続人は枝分かれし、合意形成は急速に難しくなります。「いつかやろう」という先送りこそ、最も大きなリスクです。

② 高齢の相続人がいるなら、スピードを優先

判断能力が低下すると成年後見人の選任が必要となり、時間も費用も膨らみます。高齢のご親族が相続人に含まれる事案では、着手の早さが結果を左右します。

③ 疎遠な相続人には「中立の手紙」が有効

ご本人が疎遠な親戚へ手紙を出すと、警戒や疑念を招きがちです。利害関係のない専門家が中立公平な立場から選択肢を示すことで、相手も冷静に判断できます。

④ 使う予定のない不動産は「換価分割」で公平に現金化

住む予定の方がなく、代償金を払う資力もない──そうした場合に、最も公平でトラ解決策が換価分割です。書面を専門家が適切に整えれば、税務リスクも避けられます。

岐阜・愛知で「放置された相続」にお悩みの方へ

祖父母の代から名義が変わっていない空き家、相続人が多く手をつけられない不動産、近隣の苦情と固定資産税の負担──こうした問題は、放置するほど解決が難しくなります。

一方で、正しい順番で進めれば、本件のように1年程度で全員が納得する形に整理できます。

当事務所は、岐阜・愛知での数次相続・換価分割の事案を数多く扱ってきました。まずは無料相談で、現状を整理することから始めてみてください。

当事務所は、
①円満相続については効率よい手続
②疎遠・複雑な相続については出来る限りの対症療法
③資産の凍結を防ぎたい・相続トラブルを予防したいご家族には家族信託・遺言・生前贈与などの生前対策
ご提案・ご提供することにより、皆様の安心・円満な相続と有効な資産の利活用にお役立ちすることを使命としております。

ご相談・ご依頼を心よりお待ち申し上げております。

補足|法律・税務のワンポイント

換価分割は「全員」に確定申告義務が発生

登記名義は代表者一人でも、税法上は分配割合に応じて各相続人が売却したものとして扱われ、譲渡所得税の確定申告義務が各自に生じます。古い不動産では概算取得費(売却価格の5%)を用います。
なお、被相続人が亡くなる直前まで居住していた家屋であれば、最大3,000万円の空き家特例を使える場合があります(税理士へのご確認を推奨)。

相続登記の義務化(2024年4月施行)

施行前に発生した相続も対象です。正当な理由なく3年以内に相続登記を申請しないと、10万円以下の過料の対象となります。

用語解説

換価分割
遺産を売却して現金化し、分配する方法。代表者単独名義方式では、協議書への目的・割合の明記が必須。
代償分割
特定の相続人が遺産を単独取得し、他の相続人へ代償金を支払う方法。
相続分譲渡
自己の相続分を他者へ譲渡し、手続きから離脱する方法。
数次相続
最初の相続が未処理のまま次の相続が重なる状態。相続人が増加する。
未登記建物
法務局に表題登記がされていない建物。解体のうえ土地のみ売却するのが定石。
司法書士 西田博生

この記事を書いた人

司法書士 西田 博生 (にしだ ひろき)

西田司法書士事務所 代表。岐阜県司法書士会所属(登録番号第657号)、簡裁訴訟代理等関係業務認定(第418150号)。2013年開業、相続・家族信託を専門とし、岐阜・愛知エリアで地域密着のサポートを行う。