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コラム

意外にフクザツな住所変更証明書

2020年7月14日住宅登記
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登記上の名義人の住所が現住所と異なる場合は住所変更証明書を添付して所有権登記名義人住所変更登記を申請します。また、相続登記の際に登記記録の名義人の住所が、被相続人(ひそうぞくにん)の最後の住所や本籍と一致しない場合は、同一証明書を添付して相続登記を申請します。住所変更証明書・同一証明書として添付する資料は次の通りです。

 

①住民票
②住民票の除票
③戸籍の附票(ふひょう)
④原戸籍の附票
⑤除籍の附票
⑥不在籍・不在住証明書
⑦登記済証
⑧固定資産税の納税証明書・評価証明書
⑨申述書

①住民票

住民票は住所地の市役所で取得する証明書です。現住所と直近の前住所が記載されるため、直近~現住所への住所証明書としてよく使用されます。

②住民票の除票

住所を転々とした場合における旧市町村の住民票のことを住民票の除票といいます。直近の住民票の除票には前々住所、前住所、現住所が記載されます。

③戸籍の附票

戸籍の附票は本籍地の市役所で取得する証明書です。戸籍は平成6年の戸籍法改正以降、多くの市町村においてコンピューター化されており、多くの場合このコンピューター化された戸籍を戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)といいます。戸籍の附票は戸籍謄本に附随する住所の証明書で、コンピューター化以降の住所の履歴が記載されています。

④原戸籍の附票

コンピューター化以前の戸籍のことを改製原戸籍(平成原戸籍≒昭和23年戸籍)といい、原戸籍に附随する住所の証明書が原戸籍の附票です。昭和40年頃から平成6年以降のコンピュータ化の間に結婚(婚姻)した方については、婚姻からコンピュータ化までの間の住所が記載されるケースが多いです。

⑤除籍の附票

転籍や離婚等により本籍を転々とした場合、旧本籍の戸籍を除籍謄本ということがあり、この除籍謄本に附随する住所の証明書が除籍の附票です。除籍された戸籍に在籍していた間の住所が記載されています。

 

住所の履歴を直接証明するのは、以上の①~⑤の証明書ですが、②④⑤については、原則的に平成26年6月19日以前のものは、改正前の戸籍法等により廃棄扱いとされており、転勤等で住所を転々としている方については、住所の履歴を直接証明することができないケースが少なくありません。

そのような場合には、以下の⑥⑦⑧⑨の書類で補完することとなります。

⑥不在籍・不在住証明書

登記上の住所を直接証明できない場合、登記上の住所に住民票・本籍をおく人物が現存しないことを証明するのが不在籍・不在住証明書です。少なくとも他に登記上の住所氏名の人物が存在しないことを証明することにより、間接的に申請人と登記名義人との繋がりを証明するのです。

⑦登記済証

登記名義人となった当時に発行された登記済証や住所変更登記の際に発行された登記済証があれば、これも住所証明書となり得ます。登記済証には登記をした当時の住所氏名が記載されているからです。

⑧固定資産の評価証明書・納税証明書

対象不動産の固定資産税の評価証明書に申請人の現住所と氏名が記載されていれば、また、固定資産税の納税証明書により納税の事実が確認できれば、間接的な住所証明となります。

⑨申述書

ケースによっては申請人に登記上の住所氏名の人物と同一人であることや住所移転の経緯を申述させることにより、間接的な住所証明とすることもあります。この場合には司法書士が申述書を作成し、住所変更登記の申請人や相続登記の際の相続人全員に署名・実印を捺印していただき印鑑証明書を添付することとなります。

まとめ

登記を処理する法務局においては、不実(ふじつ・現実と違うこと)の登記を防止するため、上記①~⑤の書類は取得可能なものはすべて取得させたうえで、⑥~⑨の書類で補完させるという対応となるため、住所変更証明書の手配には予想以上の手間暇がかかることがあります。

特に、土地決済の際に売主が持参した住民票のみでは住所のつながりを証明できない場合は、本人確認ができないため、土地決済自体を延期せざるを得ないことも考えられます。

売主の方にとって①の住民票以外は馴染みのない資料となりますので、登記上の住所が古い場合は、前もって司法書士に住所変更資料の収集を依頼して、決済に備える必要があるでしょう。

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