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コラム

公正証書遺言の専門家相談と進め方

2020年9月1日生前対策
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相続対策に欠かせないのが遺言書。今回は、①遺言書を書いておくべき5つのケース、②自筆証書と公正証書のどちらを選択すべきか、③公正証書遺言の書き方、④専門家手数料、⑤将来の公正証書遺言に基づく相続手続きの5つについて解説させて頂きます。

 この記事を読むと分かること 

 

○遺言書を書くべきか、書かなくても良いのか

○自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを選択すべきか

○公正証書遺言の専門家相談と進め方

○将来の公正証書遺言による相続手続き

 

 1 遺言書を書くべき5つのケース 

 

遺言書は、自分の財産で家族が相続トラブルになることを予防するために作成します。言い換えると、平等に分けられないあなたの財産を、整理整頓して揉めないように並べ替える作業です。あなたの相続人である子は、長男とか、嫁に出たとか、前妻との間の子であるとかに関わらず、すべて平等な法定相続分があります。遺産を平等に分けることは、なかなか難しいため、お互いの事情に配慮できる関係がないと相続トラブルが起こることになります。

以下に、相続トラブルが起こりやすい、遺言書を書いておくべき5つのケースについて解説します。

1-1 自宅・実家等の不動産がある

自宅・実家等の不動産の評価額は、遺産の平均40%を占めます。その一方で、不動産は切って平等に分けることはできません。

日本における相続トラブルの大半の原因が、切り分けることのできない土地・建物などの不動産に原因があり、遺産に不動産がある40%の方は、将来の相続トラブルを予防するため、遺言書を書いておくべきでしょう。

1-2 配偶者がいる場合

認知症の有病率は70歳を境に急上昇し始めます。あなたに相続が発生した際に配偶者が認知症であった場合、成年後見人を選任しなければ有効な遺産分割協議はできません。

成年後見人を選任した場合、柔軟な遺産分割協議は不可能となり、一家の財産が、配偶者が死亡するまでの数年~十数年の間凍結されることとなります。

こういった事態を避けたいと思うのであれば遺言書を作成しておくべきです。

1-3 再婚で前妻・前夫との間に子がいる

あなたが再婚で、前妻・前夫との間に子がいる場合、法定相続人は、前妻又は前夫との間の子、後妻、後妻との間の子となります。
このような場合、家庭事情にもよりますが、円満な遺産分割協議を期待することは難しいでしょう。

しかし、遺言書があれば、遺産分割協議をしないで遺産相続手続きが可能となり、相続トラブルの可能性と範囲を、半減することができます。

1-4 子が円満に遺産相続の話し合いができるか不安がある

同じ妻との間の子であっても、生まれ持った個性、生育環境、婚姻後の配偶者との関係等により、子同士の関係は必ずしも円満とは限りません。

このような場合にも、遺言書を準備して相続に備えるべきでしょう。

1-5 子がいない

あなたに子がいない場合の法定相続人は、多くの場合、兄弟姉妹又は先に亡くなった兄弟姉妹の子(甥姪)となります。

お互い独身の兄弟姉妹ならまだしも、あなたは独身でも、兄弟姉妹が結婚して子・孫がいる場合などは、関係も疎遠になっているケースが多いでしょう。

遺言書を作成しなければ、兄弟姉妹及び先に亡くなっている兄弟姉妹の子(甥姪)の全員が、また、あなたに配偶者がいれば配偶者も加わって、話し合い、あなたの遺産を相続することとなります。

これはなかなか骨の折れる手続きです。しかも高齢な配偶者や兄弟姉妹の一人でも認知症になっていたら手続きは凍結します。

そんなときも、あなたが遺言書を作成していれば、配偶者や兄弟姉妹の関係性や認知症の有無にかかわらず、有効な遺産相続手続きが可能となります。

 2 自筆証書と公正証書のどちらを選択すべきか? 

 

2-1 自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、財産目録以外の全文・日付・署名を直筆で作成する遺言書です。

メリットは、固定資産税の明細や通帳で自分の財産を把握していれば、紙とペンを用意し、今すぐにでも作成できること、専門家のチェックを受けたり、後述する法務局保管制度を利用したとしても、低価格(3,900円~10万円くらい)で作成できる点です。

デメリットは、専門家のチェックがないと、無効になったり、想定外の結果を招く、全文を直筆で書くため手書きの負担が重いという点があります。

2-2 公正証書遺言とは

公正証書遺言は、遺言の内容を公証人に伝えて起案・作成してもらい、証人2名の立ち会いのもと、読み合わせで内容を確認して作成する遺言書です。

メリットは、公証人が作成するため無効となる確率が極めて低いという点です。また、手が不自由で署名できなくても作成することができます。

デメリットは、遺産の額に応じた公証人手数料+専門家報酬が約3万円~20万円ほどかかることです。

2-3 自筆証書遺言で作成してよいケース

○400文字以上(原稿用紙1枚分以上)を間違えることなく書き通すことができる。
○遺産の中身が、自宅と預貯金のみとシンプル。
○遺産の額が3600万円以下で相続税課税案件でない。
○専門家のチェックを受ける又は専門家に文案を起案してもらう。
以上の条件を満たす場合は、自筆証書で遺言を作成ても差し支えないでしょう。

自筆証書遺言

2-4 公正証書遺言で作成すべきケース

○手が不自由で長文を書くことができない。
○遺産の中身が複雑。
○遺産の額が3600万円以上で相続税が課税される可能性がある。

もとより遺言書は公正証書遺言で作成するのが望ましいですが、上記の場合には、公正証書遺言しか選択肢がないといっても過言ではないでしょう。

 3 公正証書遺言の作成方法 

 

公正証書遺言作成のポイントは、①専門家相談、②戸籍集め、③財産目録作成、④文案作成、⑤遺言執行者、⑥公証役場の6点です。

①の専門家窓口を適切に選定することができれば、②~⑥はおのずと解決されます。

3-1 専門家相談

遺言書は、家族の円満相続を実現する手段です。重要なことは、「あなたと家族にとって最適な資産承継は何か」を明らかにすることです。それを聴き取り最適な文案を設計するのが、司法書士・弁護士等の相続専門家の役割です。

一口に相続・遺言といっても、専門家による対応には、バラツキがあるため、あなたにとって最適な専門家を選定する必要があるのです。

選定の際のポイントは、あなたの思いを100%受け止めたうえで、適切な回答を返してくれる専門家かどうかです。

また、遺言を書く目的は、抽象的には、円満相続、配偶者の生活確保、資産凍結防止、純資産額の目減りの抑制の4点です。どれか一つに偏ると、非常に危うい相続を迎えることになります。

専門家を選定する際には、これらの4つのポイントをバランスよく俯瞰できている専門家に依頼するようにしましょう。

3-2 戸籍集め

生前対策としての遺言は、あなたの遺産を配偶者や子にどのように相続してもらいたいかを書き記すものです。そのため、あなたと、配偶者や子との関係を書類上証明するため、戸籍を取得する必要があります。

あなた自身と配偶者については、戸籍全部事項証明書、子についても子の戸籍全部事項証明書を取得します。また、あなたの印鑑証明書を取得します。

3-3 財産調査=財産目録作成

遺言書を書く場合は、全財産について書くのが基本です。断片的に一部の財産について遺言を書くと、他の財産の承継について疑問を生じ、トラブルの元となるからです。
全財産について遺言書を書く場合、土地建物、預貯金、株式・投資信託、保険等の全財産について遺産目録を作成します。

遺産目録の参照資料は次の通りです。
不動産については、固定資産税の課税明細又は評価証明書により確認します。
預貯金については、通帳により金額を確認します。
有価証券については、定期的に郵送されてくる取引報告書等を確認します。

3-4 文案作成

戸籍集めにより相続人が確定し、財産調査により遺産目録を作成した後は、誰にどの財産を相続させるかを決めます。

基本的な考え方として、土地建物などの不動産は特定の相続人に相続させるとし、預貯金については代表的な相続人に相続させるとしたうえで、他の相続人に一定割合を分配するとします。

預貯金の内訳は、遺言書作成から死亡までの間に変動する可能性が高いため、口座ごとに引き継ぐ相続人を決めるのではなく、代償金で調整するのが便宜です。

3-5 遺言執行者

遺言書を作成する場合は、遺言執行者の記載は必須です。遺言執行者は、代表的な相続人又は遺言書作成に関与した専門家とするのが良いでしょう。

遺言執行者として親族を指定する場合には、あまり高齢になると判断能力に不安があるため、配偶者ではなく、子がいる場合は子、子がいない場合は兄弟姉妹ではなく甥姪を指定すると安心です。

3-6 公証役場で読み合わせ・署名押印

文案確定後は、依頼した専門家と公証役場との間において、公正証書としての体裁の調整や公証人手数料の見積・期日の調整を行い、調整した期日において、公証役場で、ご本人確認と公正証書遺言の読み合わせを行い、問題がなければ、公正証書遺言が完成します。

足腰の不自由な方のため、県内の公証役場からご自宅又は介護施設までの出張も可能です。

 4 専門家へ依頼した場合の手数料 

・相続人調査20,000+実費
・遺言書文案・公証役場との調整・証人2名手配78,000~156,000
・公証人手数料16,000~

 5 公正証書遺言による将来の相続手続き 

 

5-1 遺産分割協議に対する公正証書遺言のメリット

相続が始まった際に遺言書がないと、故人の配偶者・子の全員で満場一致の遺産分割協議が成立しないと、遺産の名義変更をすることができません。一人でも同意しない相続人がいると話は前に進みません。

これに対して、遺言書があり、遺言執行者が記載されていれば、相続人の同意を要せず、遺産の名義変更を進めることができます。

遺言の内容に異議がある相続人がいたとしても、法定相続分の半分の範囲で、遺留分減殺請求できるにすぎません。

また、遺言の効力事態に異議があるとしても、公正証書遺言は、しっかりと本人確認・意思確認したうえで作成していますから、無効になることは極めてまれです。

5-2 公正証書遺言による具体的な相続手続き

○不動産:公正証書遺言により名義変更(相続登記)
○預貯金:公正証書遺言により解約振込
○有価証券(株式・投信):公正証書遺言により名義変更

いずれも、相続人全員の同意は不要で、遺言執行者又は遺産を引き継ぐ相続人の署名捺印で手続を進めることができます。

 まとめ 

 

○「遺言書を書くべき5つのケース」に該当する場合は遺言書を作成すること。
○手書きで400文字以上書くことが困難である場合は公正証書で遺言を作成する。
○「あなたと家族にとって最適な資産承継は何か」を明らかにすること。
○あなたの思いを100%受け止めたうえで、適切な回答を返してくれる専門家に依頼する。
○遺言執行者は、配偶者ではなく、子がいる場合は子、子がいない場合は兄弟姉妹ではなく甥姪を指定する。

 

遺言書についてより詳しく話を聴きたい方は、気軽にお問い合わせくださいませ。

初回相談は無料です。免許証、認印、固定資産税の課税明細、預貯金の残高メモをお持ちいただけると幸いです。

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