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コラム

自筆証書遺言の書き方と法務局保管制度

2020年8月30日生前対策
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相続対策に欠かせないのが遺言書。今回は、①遺言書を書いておくべき5つのケース、②自筆証書と公正証書のどちらを選択すべきか、③自筆証書遺言の書き方、④法務局保管申請の手続き、⑤法務局保管中の変更手続き、⑥将来の自筆証書遺言に基づく相続手続きの6つについて解説させて頂きます。

 

 この記事を読むと分かること 

 

○遺言書を書くべきか、書かなくても良いのか

○自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを選択すべきか

○自筆証書遺言の書き方

○自筆証書遺言の法務局保管申請の意味と手順

○将来の自筆証書遺言による相続手続き

 

 1 遺言書を書くべき5つのケース 

遺言書は、自分の財産で家族が相続トラブルになることを予防するために作成します。言い換えると、平等には分けにくいあなたの財産を、整理整頓して揉めないように並べ替える作業です。あなたの相続人である子は、長男とか、嫁に出たとか、前妻との間の子であるとかに関わらず、すべて平等な法定相続分があります。遺産を平等に分けることは、なかなか難しいため、お互いの事情に配慮できる関係がないと相続トラブルが起こることになります。

以下に、相続トラブルが起こりやすい、遺言書を書いておくべき5つのケースについて解説します。

1-1 自宅・実家等の不動産がある

自宅・実家等の不動産の評価額は、遺産の平均40%を占めます。その一方で、不動産は切って平等に分けることはできません。

日本における相続トラブルの大半の原因が土地・建物などの不動産に原因があり、遺産に不動産がある40%の方は、将来の相続トラブルを予防するため、遺言書を書いておくべきでしょう。

1-2 配偶者がいる場合

認知症の有病率は70歳を境に急上昇し始めます。あなたに相続が発生した際に配偶者が認知症であった場合、成年後見人を選任しなければ有効な遺産分割協議はできません。

成年後見人を選任した場合、柔軟な遺産分割協議は不可能となり、一家の財産が、配偶者が死亡するまでの数年~十数年の間凍結されることとなります。

こういった事態を避けたいと思うのであれば遺言書を作成しておくべきです。

1-3 再婚で前妻・前夫との間に子がいる

あなたが再婚で、前妻・前夫との間に子がいる場合、法定相続人は、前妻又は前夫との間の子、後妻、後妻との間の子となります。

このような場合、家庭事情にもよりますが、円満な遺産分割協議は不可能となるのではないでしょうか。

しかし、遺言書があれば、遺産分割協議をしないで遺産相続手続きが可能となります。

1-4 子が円満に遺産相続の話し合いができるか不安がある

同じ妻との間の子であっても、生まれ持った個性、育ち、婚姻後の配偶者との関係等により、子同士の関係は必ずしも円満とは限りません。

このような場合にも、円満相続は期待できないため、遺言書を準備しておくべきでしょう。

1-5 子がいない

あなたに子がいない場合の法定相続人は、多くの場合、兄弟姉妹又は先に亡くなった兄弟姉妹の子(甥姪)となります。

お互い独身の兄弟姉妹ならまだしも、あなたは独身でも、兄弟姉妹が結婚して子・孫がいる場合などは、関係も疎遠になっているケースが多いでしょう。

遺言書を作成しなければ、兄弟姉妹及び先に亡くなっている兄弟姉妹の子(甥姪)の全員が、また、あなたに配偶者がいれば配偶者も加わって、話し合い、あなたの遺産を相続することとなります。

これはなかなか骨の折れる手続きです。しかも高齢な配偶者や兄弟姉妹の一人でも認知症になっていたら手続きは凍結します。

そんなときも、あなたが遺言書を作成していれば、配偶者や兄弟姉妹の関係性や認知症の有無にかかわらず、有効な遺産相続手続きが可能となります。

 2 自筆証書と公正証書のどちらを選択すべきか? 

 

2-1 自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、財産目録以外の全文・日付・署名を直筆で作成する遺言書です。

メリットは、固定資産税の明細や通帳で自分の財産を把握していれば、紙とペンを用意し、今すぐにでも作成できること、専門家のチェックを受けたり、後述する法務局保管制度を利用したとしても、低価格(3,900円~10万円くらい)で作成できる点です

デメリットは、専門家のチェックがないと、無効になったり、想定外の結果を招く、全文を直筆で書くため手書きの負担が重いという点があります。

2-2 公正証書遺言とは

公正証書遺言は、遺言の内容を公証人に伝えて起案・作成してもらい、証人2名の立ち会いのもと、読み合わせで内容を確認して作成する遺言書です。

メリットは、公証人が作成するため無効となる確率が極めて低いという点です。また、手が不自由で署名できなくても作成することができます。

デメリットは、遺産の額に応じた公証人手数料+専門家報酬が約3万円~20万円ほどかかることです。

2-3 自筆証書遺言で作成してよいケース

○400文字以上(原稿用紙1枚分以上)を間違えることなく書き通すことができる。
○遺産の中身が、自宅と預貯金のみとシンプル。
○遺産の額が3600万円以下で相続税課税案件でない。
○専門家のチェックを受ける又は専門家に文案を起案してもらう。

以上の条件を満たす場合は、自筆証書で遺言を作成ても差し支えないでしょう。

2-4 公正証書遺言で作成すべきケース

○手が不自由で長文を書くことができない。
○遺産の中身が複雑。
○遺産の額が3600万円以上で相続税が課税される可能性がある。

もとより遺言書は公正証書遺言で作成するのが望ましいですが、上記の場合には、公正証書遺言しか選択肢がないといっても過言ではないでしょう。

 3 自筆証書遺言の書き方 

自筆証書遺言は、手書きで作成する遺言書です。

3-1 自筆証書遺言記載例

まずは何より記載例を参照するのが一番です。
自筆証書遺言例(別紙財産目録版(明朝体がタイピング、行書体が手書き)

3-2 自筆証書遺言作成の手順

○パソコンで財産目録作成
○誰にどの不動産を相続させたいかを決める
○預貯金については金額ではなく割合で指定する
○遺言執行者を指定する
○最後に財産目録以外を上記「記載例」の要領で手書きする

3-3 自筆証書遺言作成の注意点

○財産目録以外は全文自筆で作成
○書き損じたら初めから書き直す
○各ページに署名捺印(シャチハタ不可)
○ホッチキス止めしない
○封をしない

 4 自筆証書遺言の法務局保管申請 

 

4-1 法務局保管申請のメリット

2020年7月10日以降に作成した自筆証書遺言は、法務局に保管申請することにより、バックアップが作成され紛失のリスクがなくなるとともに、将来の遺言に基づく相続手続きの際に家庭裁判所での検認手続きが不要となります。

紛失のリスクがなくなる、検認手続きが不要になることの2点は、非常に大きな改善点といえ、自筆証書遺言の利用拡大に繋がるものと考えられます。

4-2 法務局保管申請の手順

○保管申請書→様式

最寄りの法務局に予約

自筆証書遺言の法務局保管申請の手続きに際しては事前予約が必要です。予約は遺言者の住所地を管轄する法務局に、ご自身でお問い合わせ頂くか、司法書士等の専門家を通してお問い合わせください。

○本人が住所地等を管轄する法務局に出頭

予約日に、本人が、手書きの遺言書、免許証又はマイナンバーカード等を持参して手続きします。

【持ち物】遺言書、本籍の記載ある住民票(3か月以内)、写真付き本人確認資料(免許証又はマイナンバーカード等)、収入印紙3,900円

 5 法務局保管中の変更手続き 

5-1 生前の閲覧(遺言者本人のみ可能)

閲覧請求書作成/予約/法務局で閲覧

5-2 保管の撤回

撤回書の作成/予約/法務局に出頭

5-3 住所又は氏名の変更の届出

変更届出書の作成/予約/法務局に出頭又は郵送届出

 6 将来の自筆証書遺言に基づく相続手続き 

 

6-1 遺言書保管事実証明書(任意)

故人が自筆証書遺言を作成した場合において、確たる証拠がないときは、確認のため遺言書保管事実証明書の交付申請をして遺言書の有無を確認します。

○最寄りの法務局に電話で予約

○最寄りの法務局窓口で遺言書保管事実証明書の交付請求

【持ち物】遺言者の死亡を証する戸籍謄本、請求人の住民票・戸籍謄本、収入印紙800円

6-2 遺言書情報証明書

故人が自筆証書遺言を作成した場合において、最寄りの法務局で遺言書情報証明書を取得します。

○最寄りの法務局に電話で予約

○法務局で遺言書情報証明書の交付請求
【持ち物】遺言者の死亡を証する戸籍謄本、請求人の住民票・戸籍謄本、収入印紙1,400円

6-3 遺言書情報証明書による相続手続き

法務局に保管申請した遺言書がある場合の相続手続きは、相続人全員による遺産分割協議は不要で遺言執行者のみで手続を進めることができます。具体的な手続きの流れは以下の通りです。

○遺言書情報証明書の取得
相続人調査(戸籍集め)
遺産調査
○遺産目録作成
○相続人への通知
○不動産については相続登記(名義変更)
預貯金については解約・代表相続人への振込
○代表相続人から各相続人への代償金の支払

 まとめ 

○「遺言書を書くべき5つのケース」に該当する場合は遺言書を作成すること。
○手書きで400文字以上書くことが問題なく、遺産も自宅と預貯金のみという場合には、司法書士等の専門家のチェックを受けることを条件に自筆証書で遺言を作成してもよい(手書きが困難である場合は公正証書遺言で作成する)。
○自筆証書遺言は、財産目録はパソコンで作成し、それ以外の本文・日付・署名は、必ず自書(手書き)する。
○自筆証書遺言は、紛失等を防ぐため、住所地の法務局に免許証等を持参して保管申請をする。
○将来、遺言者が死亡したときは、法務局で遺言書情報証明書を取得して、これに基づき遺言執行者が相続手続きを進める。

 

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初回相談は無料です。免許証、認印、固定資産税の課税明細、預貯金の残高メモをお持ちいただけると幸いです。

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