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コラム

疎遠な親戚から相続の通知書を受け取ったときの対応方法

2021年6月18日相続
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疎遠な親戚から、曾祖父名義のままとなっていた亡母の実家の土地の相続の連絡を受けた、独身の叔父がなくなり相続の連絡を受けた。このような相続の連絡を受けとったとき、どのように対応をすればよいのでしょうか。

1 疎遠な親戚から相続の連絡を受ける場合

 

①長年放置していた亡母の在所の土地家屋の相続

長年、名義変更を放置していたお客様から相続登記のご依頼をお受けするケースが増加傾向にあります。

このような場合、年を重ねるごとに相続人が枝分かれで増えてゆきます。

②疎遠な叔父さん叔母さんの相続

また、独身のまま土地家屋や預貯金などの財産を残して亡くなった叔父さんや叔母さんが、遺言書を作成していないと、高齢な兄弟姉妹や付き合いのない甥姪が相続人となります。

上記①②いずれの場合も、相続人が多数になりがちですが、相続手続きを進めるには、相続人全員に連絡を取り、全員の合意を取り付ける必要があります。

①は、相続から相当期間が経過しており、土地家屋の名義変更(相続登記)を放置したケースがほとんどです。

②は、子がいないがゆえに相続人が多数になるケースで、多くの場合、預貯金も含めた相続手続きとなります。

以下、①と②に分けて、連絡を受けた相続人の対応方法について解説いたします。

2 長年放置していた亡母の在所の土地家屋の相続の連絡を受けた時の対応方法

こういったケースは、相続から20年以上経過していることも多く、債務が残存しているリスクも極めて低いため、基本的には相続を承認したうえで、土地家屋の名義変更の提案について賛否を示す対応でよいでしょう。

土地家屋の名義変更の提案のパターンは大きく3通り考えられます。

①提案者が土地家屋を相続することに同意する。

②提案者が土地家屋を相続することに同意する代わりにお礼金を支払う。

③提案者が代表して土地家屋を売却し経費を差し引き希望した相続人に分配する。

 

①の場合は、提案者が土地家屋を相続する旨の遺産分割協議書にサインと実印を押印して印鑑証明書を同封して郵送することになります。

②の場合は、印鑑証明書を取得する手間代と手続協力へのお礼金として、数万円~の金額を提示されるケースが多いでしょう。

③の場合は、法定相続分により解決するケースです。

連絡を受けた側としては、どのように対応すべきなのでしょうか。

まず、そもそも相続人には、法定相続分というものがあります。

例えば、祖父が亡くなり、長女、長男、二男全員が、その後に亡くなっていて、長女に子ABCD、長男に子EFG、二男に子HIと妻Jがいる場合の法定相続分は、次の通りとなります。

Aの法定相続分1/3×1/4 =1/12=3/36≒8.3%
Bの法定相続分1/3×1/4 =1/12=3/36≒8.3%
Cの法定相続分1/3×1/4 =1/12=3/36≒8.3%
Dの法定相続分1/3×1/4 =1/12=3/36≒8.3%
Eの法定相続分1/3×1/3 =1/9 =4/36≒11.1%
Fの法定相続分1/3×1/3 =1/9 =4/36≒11.1%
Gの法定相続分1/3×1/3 =1/9 =4/36≒11.1%
Hの法定相続分1/3×1/2×1/2 =1/12=3/36≒8.3%
Iの法定相続分1/3×1/2×1/2 =1/12=3/36≒8.3%
Jの法定相続分1/3×1/2    =1/6 =6/36≒16.7%

長女、長男、二男が平等に3分の1ずつ受け取った法定相続分をそれぞれの子や配偶者が分け合う結果、上記の通りとなるのです。

注意しなければならないのは、法定相続分は、相続がもめてしまった場合や、③のように不動産を換価分割する際の指標であるという点です。

遺産が預貯金のみであれば法定相続分通りに分けることは比較的簡単です。

しかし、遺産が土地家屋といった不動産の場合は、法定相続分にこだわると、提案者によほどの経済力がないと、相続手続きは滞り、問題を子世代に先送りすることになります。

そこで提案を受けた側としては、亡母の在所の実情を踏まえ、現実的な回答をするのがよいでしょう。

例えば、亡母の在所に次のような要因がある場合は、①又は②の解決策が望ましいといえるでしょう。

・提案者が、亡母の在所を継いでおり、祖父母の世話もしてきた
・亡母の在所が田舎で資産価値に乏しい(数百万程度)

逆に、亡母の在所に次のような要因がある場合は、③の解決策を検討することになるでしょう。

・提案者が、亡母の在所を継いでおらず、祖父母の世話もしてこなかった
・亡母の在所が空き家となり、提案者一人に相続させる必要性に乏しい
・亡母の在所が都会で資産価値が高い(数千万円以上)

3 疎遠な叔父さん叔母さんの相続の連絡を受けた時の対応方法

 

次は、疎遠な叔父さん叔母さんの相続の連絡を受けた時の対応方法です。

よくあるケースとしては、疎遠な独身の叔父さんや叔母さんが亡くなり、相続の話が降って湧いたというケースです。

この場合の考え方の順番としては次の2段階です。

①そもそも相続を承認するか放棄するか

疎遠な親戚から相続の連絡を受けた時、
「私には財産をもらう理由がない」あるいは、「疎遠で財産状況が把握できないので関わりたくない」ということで相続を辞退される方もいらっしゃいます。

この場合は、連絡を受けた時から3か月以内に相続放棄の手続きを取るべきでしょう。

相続放棄をすれば、以後、相続財産に関しての、一切の権利義務から解放されます。

②遺産調査をしたうえで、相続を放棄するか承認するか

一方で、「財産があるならもらいたいけど、借金が多いようであれば放棄したい」という方もいらっしゃいます。

そのような場合は、次のように考えます。

・まずは、提案者に、預貯金の残高証明書、評価証明書などの財産に関する資料や負債の有無などを確認し、預貯金の額が数百万円以上あるようであれば、多額の借金がある可能性は低いと推測する。また、土地家屋の登記情報を取得して担保がついていないか確認する。

・それでも心配が残る場合は、自分で戸籍を取り寄せ、故人の信用情報機関3機関に照会をかけ、負債の状況を確認する。

・最終的には信用情報機関に載らない負債もありうるので、ある程度のリスクを取って相続を承認するか、リスクを回避して放棄するかを決断して、返答する。

③相続を承認した場合の対応方法

それでは、独身の叔父さん叔母さんの遺産を相続すると決めた場合、どのように相続するのが良いのでしょうか。

法律的には、故人に同居人がいるケースを除けば、土地家屋は売却できるものは売却し、預貯金に集約して、法定相続分に応じて分配するのが公平でしょう。

もちろん提案者にも思いがありますから、故人の身の回りの世話や介護に献身的であったなどの事情があればある程度斟酌する必要があるかと思います。

逆に、提案者側としては、殊更に自分の献身を主張して財産を独り占めするような進め方をすると、相続人の反感を買って、もめる原因となりますので、法定相続分までは主張されても仕方がないという現実を認識しておく必要があります。

以上、今回は「疎遠な親戚から相続の通知書を受け取ったときの対応方法」について解説してみました。

ご不明な点は気軽にご相談くださいませ。

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