所有不動産記録証明書(2026年4月までに開始)による不動産調査
- 2023年1月30日未分類
-
2026年4月までに所有不動産記録証明制度が開始されます。住所と氏名を索引にして日本全国の所有不動産を検索・証明できる制度です。遺言作成や相続手続きの際に、市町村をまたいで不動産を所有している可能性がある場合には、従来の固定資産税の明細、名寄帳に加えて、所有不動産記録証明書も活用することになります。
1 二つの不動産の調査方法
遺言作成や相続手続きの際の不動産の調査方法には、主に2つの方法がありました。
固定資産税の課税明細と名寄帳です。(1)固定資産税の課税明細による不動産調査の特徴
①固定資産税が課税されている不動産について郵送されてくる
②他市町村の不動産についても課税されていれば郵送されてくる
③固定資産税が非課税の少額の不動産については記載されない
④共有不動産については代表者のところにしか届かない固定資産税の課税明細は、最も身近な不動産の一覧表ですが、③④の弱点があるため、次の名寄帳等を取得することとなります。
(2)名寄帳等による不動産調査の特徴
①市町村ごとに非課税・共有を含めた全不動産が記載される
②他市町村の不動産は記載されないので市町村ごとに請求する必要がある
③市町村ごとに名称等が異なる又は他の証明書でも代用できる
名寄帳は、市町村ごとに「固定資産課税台帳」「土地家屋課税台帳」という名称になっていたり、市町村によっては「固定資産評価通知書」という登記用の証明書に非課税・共有を含めた全不動産を記載してくれるところもあります。
2 三つ目の不動産の調査方法~所有不動産記録証明書
「住所・氏名を索引に」、「非課税・共有も含めた日本全国の所有不動産」を、データベース化する制度が、所有不動産記録証明制度です。
①住所・氏名が索引とされる~旧住所・旧姓での検索も必要
住所・氏名を索引とするため、旧住所で登記した不動産、旧姓で登記した不動産などがある場合は、旧住所・旧姓でも検索をかける必要があります。
この点に関しては、住所氏名変更登記義務化に伴い、不動産登記の所有権登記名義人の住所・氏名変更登記が浸透していくにしたがって、不便が解消されていくことが期待されます。
②先代・先々代名義の不動産についても登記上の正確な住所氏名を記載しないと検索されない可能性がある
この点に関しては、相続登記義務化に伴い、所有権登記名義人の相続登記が浸透していくにしたがって、不便が解消されていくことが期待されます。
3 三つの不動産調査方法によっても漏れる可能性のある不動産とは?
他市町村、非課税、共有、先代・先々代名義などの要因が複数重なると、三つの不動産調査によっても検索から漏れる可能性があります。
例)昔相続した実家の田畑で非課税のもの
例)1960年代から1980年代に原野商法等で購入した他市町村の山林原野で非課税のもの4 まとめ
①不動産の調査方法には、固定資産税課税明細・名寄帳がある
②2026年4月までに開始される所有不動産記録証明書により、不動産の調査方法が充実することとなる
③旧住所・旧姓で登記された不動産、先代や先々代名義の不動産がある場合には、早めに住所氏名変更登記や相続登記をしておくことで、今後の相続対策など終活に、所有不動産記録証明制度を生かすことができる。