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コラム

遺産分割協議書の記載例(ひな形)

2020年8月19日相続
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家・預金などの遺産の名義変更には、遺産分割協議書が必要です。遺産分割協議書の作成は相続手続きを依頼する司法書士、税理士、弁護士などの専門家が作成します。今回は、ご自身で作成してみたい方に向けて、ひな形、記載例を解説いたします。

遺産分割協議書(記載例)

 1 遺産分割協議書はなぜ必要なのか 

①遺産を取得した相続人を明確にするため

遺産分割協議が成立するまでは原則として各相続人は遺産を勝手に処分することができません。遺産分割協議が成立してはじめて相続人は家や預金などの遺産を確定的に取得できるのです。

このように遺産分割協議書は、誰が、どの遺産を取得したのかを明確にするために作成します。

②遺産の名義変更をするため

家の名義変更をするためには遺産分割協議書が必要です。

預金の解約払い出しにも遺産分割協議書が必要です。

遺産分割協議書がないと、家の名義変更はできません。

遺産分割協議書がないと、預金のある金融機関ごとの用紙すべてに相続人全員の実印押印が必要となってしまします。

遺産分割協議書に相続人全員が実印を押印していれば、金融機関ごとの用紙には預金を相続する相続人のみが署名押印すれば解約払出ができます。

このように遺産の名義変更をスムースに進めるためにも遺産分割協議書が必要なのです。

 2 遺産分割協議書の記載例(ひな形) 

①被相続人の表示

被相続人(ひそうぞくにん)は、亡くなった故人のことです。被相続人を、氏名・生年月日・死亡年月日(相続開始年月日)・最後の本籍・最後の住所で特定します。最後の住所が不明な場合(亡くなって5年以上経過している場合等)は記載を省略できます。

例)被相続人 西田〇〇(昭和○年○月○日生)
相続開始年月日 令和2年○月○日
最後の本籍 岐阜県各務原市〇〇〇〇
最後の住所 岐阜県各務原市〇〇〇〇

②土地(所有権)の表示

土地は登記事項証明書の記載に従って(少なくとも地番まで)記載します。

例)相続人〇〇は、次の土地所有権を取得する。
・〇〇市〇〇町○丁目○番○の土地

③建物(所有権)の表示

建物は登記事項証明書の記載に従って(少なくとも家屋番号まで)記載します。

昔の建物は未登記のものが少なくありません。未登記建物は家屋番号がないため固定資産評価証明書の記載に従って所在地番・種類用途・床面積・築年月日で特定します。

例)相続人〇〇は、次の建物所有権を取得する。
・〇〇市〇〇町○丁目○番地○ 家屋番号 〇番○ の建物
・〇〇市〇〇町○丁目○番地○ 物置 10.21㎡ 昭和30年建築
家の名義変更(相続登記)

④預貯金(ゆうちょ銀行以外の銀行)の表示

取扱店ごとに漏れのないよう次のような記載にします。

例)相続人〇〇は、次の預金債権を含む〇〇銀行〇〇支店に対する一切の権利を取得する。
・〇〇銀行〇〇支店  普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇
・〇〇銀行〇〇支店  定期預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇
預貯金の相続

⑤預貯金(信用金庫)の表示

取扱店ごとに漏れのないよう次のような記載にします。

例)相続人〇〇は、次の預金債権・出資金債権を含む〇〇信用金庫〇〇支店に対する一切の権利を取得する。
・〇〇信用金庫〇〇支店  普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇
・〇〇信用金庫      出資金  会員番号〇〇〇〇〇〇〇
預貯金の相続

⑥預貯金(農協)の表示

漏れのないよう次のような記載にします。

例)相続人〇〇は、次の貯金債権・出資金債権・建物更生共済を含む〇〇農業協同組合〇〇支店に対する一切の権利を取得する。
・〇〇農業協同組合〇〇支店  普通貯金   口座番号〇〇〇〇〇〇〇
・〇〇農業協同組合      出資金    会員番号〇〇〇〇〇〇〇
・〇〇農業協同組合      建物更生共済 契約番号〇〇〇〇

⑦預貯金(ゆうちょ銀行)の表示

漏れのないよう次のような記載にします。
例)相続人〇〇は、次の貯金債権を含むゆうちょ銀行に対する一切の権利を取得する。
・ゆうちょ銀行  通常貯金 記号〇〇〇〇〇 番号〇〇〇〇〇〇〇〇
・ゆうちょ銀行  定額貯金 記号〇〇〇〇〇 番号〇〇〇〇〇〇〇〇
預貯金の相続

⑧株式・投資信託の表示

漏れのないよう次のような記載にします。

例)相続人〇〇は、次の有価証券を取得する。
・〇〇株式会社株式     〇〇証券〇〇支店取扱分全部
・〇〇日本債券インデックス 〇〇証券〇〇支店取扱分全部
上場株式・投資信託等の相続

⑨継続する保険契約の表示

被相続人が契約者であって被相続人の死亡が支払事由でない保険は保険契約が継続されるため、相続財産となります。

例)相続人〇〇は、次の保険契約上の契約者たる地位を取得する。
・保険者 〇〇生命保険株式会社 被保険者〇〇 保険証券番号〇〇〇〇〇〇

⑩貸付金の表示

被相続人が会社経営者等である場合には、会社に対する貸付金がある場合があります。

例)相続人〇〇は、次の貸付金を取得する。
・債務者 〇〇株式会社 金〇〇万円

⑪自社株の表示

被相続人が会社経営者等である場合において自社株を保有していたときは、自社株(未上場株)が相続財産となります。
例)相続人〇〇は、次の株式を取得する。
・〇〇株式会社株式 〇〇株

⑫自動車の表示

例)相続人〇〇は、次の自動車を取得する。
・〇〇〇〇〇〇〇〇 車体番号〇〇〇〇〇〇
自動車登録番号 岐阜〇〇〇〇〇〇

⑬その他財産の表示

漏れのないように、その他の財産がある場合の条項を設けます。

例)前各条に記載なき全ての財産及び債務は、相続人〇〇が取得する。

⑭代償金(だいしょうきん)の表示

預貯金を代表相続人が一括で相続し他の相続人に現金を分配する場合や相続人間の公平を図るため、代表相続人等から他の相続人へ代償金を定めることがあります。代償金は相続財産であり、贈与税の問題は生じません。

例)相続人〇〇は、本遺産分割による相続の代償金として、相続人〇〇に金〇〇万円を支払う。

⑮債務の表示

債務は債権者との関係においては遺産分割の対象となりませんが、相続人内部の取り決めとして、特定の債務を特定の相続人が負担すると定めることがあります。

例)相続人〇〇は、〇〇銀行に対する次の借入金を負担する。
・・・・・

⑯換価分割の表示

実家が空き家となるため、売却して代金を公平に分けたい場合には、換価分割をします。

例)次の不動産は、換価分割するため、相続人〇〇が取得し、〇〇名義に所有権(持分全部)移転登記(以下「相続登記」という)手続きをする。〇〇は、相続登記をしたのちすみやかに当該不動産を売却し、売却代金から不動産仲介手数料、契約書作成費用、登記費用、その他遺産の保存、管理及び処分の為にかかる一切の費用を支払った後の残額を、〇〇3分の1、〇〇3分の1、〇〇3分の1の割合で分配する。
・〇〇市〇〇町○丁目○番○の土地

⑰日付

⑱相続人全員の署名欄

遺産分割協議は相続人全員(家庭裁判所に相続放棄申述した相続人を除く)で協議・合意する必要があるため、相続人全員で協議内容を確認し、署名・実印押印します。

 3 まとめ 

○誰が、どの遺産を取得するかの話し合いが決まったら、遺産分割協議書を作成しましょう。
○遺産分割協議書の作成は、遺産の名義変更で滞りが生じないように、専門家に任せるのがお勧めです。
○遺産が、家と預金少々という場合には、ご自身で作成することも可能ですので、記載例を参考にして作成してください。
○署名と押印は、相続人全員が必ず実印を押印して印鑑証明書を添付するのがポイントです。

遺産分割協議書の作成は、遺産の額に応じて8,000円~88,000円で承っております。
気軽にお問い合わせくださいませ。

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