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コラム

相続の失敗事例【24選】

2020年8月9日相続
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遺産相続は人生で何度も経験することではありません。失敗や後悔をしないためにも、過去の失敗事例を参考にすることが大切です。大きな失敗から、小さな失敗まで、これから相続を経験する方にとって参考となる24事例を解説します。

 ◆相談が原因の失敗談 

1 無料相談を受けるも具体的な話が進まない

相続手続きは、故人の遺産を引き継ぐ手続きのため、遺産の中身が分からないと、相談内容は一般論や仮定の話に終始してしまい具体的な行動につながりません。

司法書士、税理士、弁護士等の士業は、たとえ無料相談であっても、法律による厳格な守秘義務を厳守します。重要なご相談事ですから、専門家から具体的な手続きの見通しをお話しできるためにも、勇気を出して遺産の中身を開示して相談されることをお勧めします。

また具体的な情報を開示したからといって依頼しなければならないわけではありません。相談先の専門家に依頼するかどうかは、専門家から具体的な依頼内容・スケジュールの見通し・全体予算の3点を提示された後に、ご相談者様が検討してお決め頂くことです。

2 全体予算を確認せずに依頼し追加料金が発生

相続手続きを専門家に依頼する場合は、窓口の専門家だけでなく、提携先の専門家の報酬も発生することがあります。家の名義変更については登録免許税という印紙代も発生するため、必ず全体予算を確認してから手続きを依頼する必要があります。

例えば、「まるごとプラン」「遺産整理業務」等の表記で相続手続きを依頼する場合でも、窓口が司法書士の場合は別途税理士報酬が発生することがあり、窓口が税理士の場合は別途司法書士報酬が発生するケースが散見されます。そのようなケースは窓口と連携している税理士又は司法書士の報酬額もあわせて確認しましょう。

相続相談のポイント

3 専門家に丸投げしたはずが自分で記入しなければならない書類が多数 

「まるごとプラン」「遺産整理業務」等の表記で相続手続きを依頼する場合でも相続手続きにおいては個人情報の観点から必ず本人でなければ記入できない書類が発生することがあります。

例えば上場株式等の移管届出書や証券総合口座開設届出書、継続する各種保険の契約書などです。

専門家に全部任せたとしても、ご自分で対応しなければならない部分があることをご理解ください。

4 四十九日が終わってから相談し相続放棄の3か月の熟慮期間が経過してしまう

四十九日が終わってから相続手続きを進めるという話がありますが、初回相談は1ヶ月以内にお受けになることが重要です。

相談後の【相続人調査】には1週間~1か月、【遺産調査】にも1週間~1か月程度かかります。

相続放棄の熟慮期間が3ヶ月であることを考えると、葬儀後1ヶ月以内で【初回相談】、2か月で【相続人調査】【遺産調査】、3か月で相続するか相続放棄するかの決定をして頂き、そこから本格的な遺産分けの話し合いをすることが、トラブルになりにくい進め方といえます。

相続放棄

5 依頼を放置され1年以上経過

相続案件については、依頼したが月日が経っても手続が進行しないという相談を受けることがあります。相続人の話し合いが進まないのなら相続人側の問題ですが、専門家が依頼を受けた【相続人調査】【遺産調査】【遺産の名義変更】のどこかで滞りが生じている場合は、専門家側の問題となります。

専門家の対応が遅い場合には、期日を指定して進捗状況の確認をし、改善されないなら速やかに手続きを中断して改めて他の専門家に相談すべきでしょう。

また、そもそも、手続を遅延されないために、初回相談の段階でスケジュールの見通しをキチンと提示してくれる専門家に依頼するとよいでしょう。→相続相談のポイント

6 遺産が基礎控除額を超えるにもかかわらず税理士を関与させないまま遺産分割を済ませてしまう

91.5%の遺族にとって相続税は関係のない税金ですが、それでも残りの8.5%の遺族には相続税の申告納税が必要となります。司法書士が相談を受けた場合、遺産を調査し、相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人数)を超える遺産がある可能性がある場合は、税理士報酬の見積額を提示のうえ、税理士とワンストップで手続を進めるのが、正しい相続手続きの進め方です。

といっても相談先の専門家によっては、遺産調査をしっかりしていなかったり、税理士と連携していなかったりして、結果的に、相続税の申告が必要な案件であったにもかかわらず、相続税のことを考慮しない遺産分割をしてしまうケースがあります。

このような事態にならないため、相続相談の際には、遺産調査の方法と税理士の連携がとれているかどうかを確認しましょう。→相続相談のポイント

 ◆遺産調査が原因の失敗談 

7 預貯金を見落としたまま損をする

相続人の方は、必ずしも亡くなった方の預金口座すべてを把握しているわけではありません。故人の預金口座を見落としたまま相続手続きを終えると、結果的に損をすることになります。

故人の預貯金をもれなく相続したい場合は、取引の可能性のある銀行、信用金庫等に、現存照会・全店照会をするように専門家に依頼しましょう。

8 上場株式等の見落としたまま損をする

相続人の方は、必ずしも亡くなった方の上場株式・投資信託等の有価証券をすべてを把握しているわけではありません。故人の上場株式等を見落としたまま相続手続きを終えると、結果的に損をすることになります。

故人の上場株式等をもれなく相続したい場合は、証券保管振替機構に、開示請求をするように専門家に依頼しましょう。

9 非課税の土地・共有地を見落とし後から苦労をする

被相続人名義の土地・建物などの不動産は、固定資産税の課税明細、評価証明書、名寄帳で確認しますが、固定資産税が非課税の土地や共有地などは、課税明細に記載されなかったり、評価証明書等の請求の仕方により記載されないケースが生じます。

このような遺産もれが生じないようにするためには、【遺産調査】の際に、市区町村役場の税務課で、「非課税物件・共有物件を含めた被相続人名義のすべての不動産の評価額が記載された評価証明書又は名寄帳をお願いします」として依頼することとなります。

10 借金を見落としたまま預貯金を相続しあとから請求を受ける

被相続人に借金がある場合は、3か月以内に相続放棄を検討することとなります。3か月以内に相続放棄をせず、加えて、預貯金の相続手続きなどを済ませていると、後日債権者から請求を受けた場合は、原則的に、相続人が、借金の返済義務を負います。

被相続人に借金があるか不明の場合は、次の3つの信用情報機関に開示請求を行い確認してから相続手続きを進めるようにしましょう。
①CIC ②JICC ③全国銀行個人信用情報センター

11 家を出た自分は関係ないと相続を放置し、後日債権者から請求を受ける

家を出た自分は関係ないと相続を放置しても、3か月を経過すると、「相続した」ものとみなされます。この結果、借金があれば支払い義務が発生し、相続がもめれば巻き込まれることとなります。

ご自分にとって相続は関係ないとお考えであれば、速やかに専門家に依頼して3か月以内に相続放棄しておきましょう。3か月以内に相続放棄してしまえば、遺産に関するトラブルに巻き込まれずに済みます。

 ◆生前対策不足が原因の失敗談 

12 隠し子が判明し連絡がとれず遺産分割が進まない

相続手続きにおいては【相続人調査】で故人の戸籍を出生までさかのぼり、故人の「子」すべてを確認します。故人が認知している子、故人の前妻との間の子、養子にしてた孫などがいる場合は、全員平等な法定相続分をもった「子」になります。このような場合は、相続人の間が疎遠又は険悪であることが少なくなく、相続人同士の話し合いが困難になるケースが散見されます。

まずは専門家を通して手紙をやり取りして、金銭的な折り合いがつけば問題ありませんが、連絡がつかない場合は家庭裁判所に調停を申し立てることとなります。

こういった事態にならないためには、遺言書により生前対策をしておくことが不可欠です。

公正証書遺言 →自筆証書遺言

13 行方不明の相続人が出てきて遺産分割が進まない

行方不明の相続人がいる場合は、家庭裁判所で不在者財産管理人を選任してもらい、原則的には、不在者財産管理人は行方不明の相続人の法定相続分を確保した遺産分割協議に合意して、遺産の名義変更をすることとなります。

ただし、行方不明者が生きて現れる可能性が低いと判断できるときは、生きて戻ってきたら法定相続分相当の金銭を払うという合意で、遺産分割をすることも可能です(帰来時弁済型遺産分割)。

いずれにしても手続きは複雑になり、余分な出費も発生しますので、こういった事態にならないためには、遺言書により生前対策をしておくことが不可欠です。

公正証書遺言 →自筆証書遺言

14 海外在住の相続人がいて遺産分割が進まない

相続人に海外在住の方がいるときには、連絡を取ったうえで、話し合いを進め、話し合いの結果をまとめた遺産分割協議書に、現地日本領事館でサインをして頂くこととなります。

遺産分割でなく相続放棄をする場合でも、家庭裁判所から海外に照会文書を送ることになるなど、手続きが複雑となります。

このような事態も、遺言書を作成しておくことにより対処できます。遺言書を作成しておけば、遺産の内容をお知らせし、代償金や遺留分の支払いが発生したとしても、口座番号をお知らせ頂くことによりスムースに手続きを進めることができます。

公正証書遺言 →自筆証書遺言

15 故人の配偶者が認知症で遺産分割が進まない

故人の配偶者が認知症で、遺産分割協議書の内容を判断できない状態のときは、配偶者について成年後見人を選任しなければ相続手続きを進めることができません。そして一旦就任した成年後見人は、配偶者の通帳等の財産を一生管理することとなります。

このような事態を避けたい場合も、遺言書を作成しておくことにより対処できます。遺言書を作成しておけば、相続人の話し合いをせずに遺産の名義変更をすることができるからです。

公正証書遺言 →自筆証書遺言

16 せっかく書いた遺言がお蔵入り

せっかくかいた遺言書も、見つけて使用してもらわなければ意味がありません。遺言書の紛失を防ぐ方法は2つあります。

1つ目は、公正証書遺言として遺言書を作成すること。これが最もお勧めなのは言うまでもありません(→公正証書遺言)。

2つ目は、自筆証書遺言を作成したうえで、法務局に保管申請をすることです。紛失を防ぐという意味ではこちらも有効です(→自筆証書遺言保管制度)。

17 もめると分かりながら遺言書を書かずに裁判に

もめると分かりながら父・夫が遺言書を書いてくれない。妻や子の立場からも言い出しにくい。こういった家族が非常に多いです。

自分の死後のことは考えたくない、その結果、家族は骨肉の争いとなり、感情と時間とお金を消耗させることは、非常に残念で仕方がありません。

そのような事態にならないためにも、多少強引にでも専門家相談を受けてもらい遺言書を書いてもらうべきでしょう。

注意すべきは、子にとって都合のよい遺言書を無理やり書かせた、という事態にならないことが重要です。そのためにも公正証書遺言として遺言書を作成することがお勧めです。

公正証書遺言

18 生前対策をしなかったために実家を売却することに

生前対策をしなかったために、実家を継ぐのに他の兄弟から法定相続分を主張され、支払いのために家を売却せざるを得なかった。

正常な親子関係・兄弟姉妹関係を保てていればこういう事態は避けられたかもしれません。

しかし、そもそも遺言書を書いていれば、相続のもめごとの範囲は遺留分の範囲に限定されるため、被害を最小限に抑えることができたのです。くどいですが、遺言書を書いておくべきだったと言えるでしょう。

公正証書遺言  →自筆証書遺言

19 子のいない兄が死亡し実家が兄嫁の家系に

子のいない夫婦の相続は、どちらが先に亡くなるかで、財産の流れが変わります。

夫が先に亡くなれば、妻の兄弟姉妹・甥姪に財産が流れます。

妻が先に亡くなれば、夫の兄弟姉妹・甥姪に流れます。

遺産に代々引き継いできた実家が含まれる場合も同様です。

このような偶然に頼った財産の流れをコントロールしたい場合には2つの方法があります。

①遺言書で配偶者居住権を設定し、配偶者居住権は配偶者の終生確保し、所有権は本来の実家側の兄弟姉妹名義とする。

②家族信託契約で、実家を信託不動産に組み入れ、第1受益者を配偶者、帰属権利者を実家側の兄弟姉妹に指定する。

 ◆遺産の名義変更における失敗談 

20 銀行や証券会社に提出した戸籍や印鑑証明書の原本が戻ってこず再取得しなければならない

相続人調査】で取得した戸籍や印鑑証明書は、【遺産の名義変更】としての、相続登記預貯金解約上場株式等の名義変更等の際に、法務局(司法書士)、銀行、証券会社に提出します。その際に原本を返却するよう注記しておかないと原本が返ってこないという事態が発生します。このような場合は、苦労して取得した戸籍を、再度取得しなければならなくなりなります。

このような事態にならないためにも、戸籍を提出する際には、必ず原本を返却してもらうようにメモ書きをしておきましょう。もちろん、相続登記、預貯金解約、上場株式等の名義変更等を専門家に依頼する場合は、何も言わなくても原本を返却してくれます。

なお、戸籍等の一式について専門家において法定相続情報証明書を取得している場合は、戸籍の代わりとしての法定相続情報証明書に加えて、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書の3点セットで遺産の名義変更を行いますので、戸籍が返却されないという事態は発生しません。当事務所においては原則的に法定相続情報証明書を取得したうえで、遺産の名義変更を進めるようにしております。

21 遺産の名義変更をすると相続税がかかると勘違いして土地の名義を放置

相続でよくある勘違いが、税金に関する勘違いです。相続のときにかかる可能性のある税金は、相続税、所得税、贈与税です。このほか、家の名義変更をする際には登録免許税という印紙代がかかります。不動産取得税はかかりません。

①相続税は、遺産の額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人数)を超える約8.5%のご遺族にのみにかかる税金です。つまり91.5%のご遺族にはかからない税金です。

②所得税は、被相続人を被保険者A、契約者・受取人をBとする保険契約があった場合において、Aの死亡によりBが保険金を受け取ったときに課税されることがあります。

③贈与税は、被相続人Aを被保険者、契約者をB、受取人をCとする保険契約があった場合において、Aの死亡によりCが保険金を受け取ったときに課税されることがあります。

被相続人を被保険者とする保険証券がある場合は、保険会社に問い合わせるか、専門家に保険金請求を含めてご相談いただくこととなります。

22 法定相続情報証明書を取得しなかったため手続きの進行が遅い

遺産の名義変更には、戸籍一式又は法定相続情報+遺産分割協議書+相続人全員の印鑑証明書の3点セットが必要です。遺産が、不動産、預貯金5口座、証券会社3社、自動車など複数あると、3点セットを、それぞれの窓口に提出したり、郵送したりします。

3点セットが1組しかないと手続きの進行が遅滞します。かといって故人の古い戸籍を何枚も取得するのは非効率です。

そこで戸籍一式を法務局に提出して法定相続情報証明書を3枚くらい取得して、印鑑証明書や遺産分割協議書も2~3枚ずつ取得しておくと、各窓口の手続の進行が早まります。

23 預貯金について遺産分割協議書を作成せず、銀行ごとの何枚もの相続届出用紙に相続人全員の実印を押印することになり苦労する

遺産分割協議書を作成しないまま、各銀行での手続きを進めてしまうと、銀行ごとに相続人全員が実印を押印しなければならないという面倒なことになります。

最初に遺産分割協議書を作成しておけば、相続人全員が押印する書類は、原則的に遺産分割協議書のみとなり、押印の手間が省けます。

相続手続きは、遺産分割協議書を作成してから、遺産の名義変更をするようにしましょう。

24 相続登記を放置し気づいた時には相続人が20人以上で土地が塩漬けになる

かつて「相続登記は義務でないからしなくてもよい」と勧める専門家もいました。法制度上は確かにその通りなのですが、その結果、1947年に家督相続制度が廃止されて70年以上を経過したいま、日本各地に相続登記未了土地が山積し、貴重な土地資産が塩漬けになっています

相続登記(家・土地の名義変更)にかかる費用は、2000万円の評価額で約15万円、5000万円の評価額でも30万円以内、1億円の評価額でも60万円以内と、他の手続に比べ高額とは言えません。

相続登記も預貯金の解約同様、速やかに済ませ、将来家族が困ることのないようにしておきましょう。

 ◆まとめ 

以上、相続の失敗談【24選】となります。
失敗しない相続とするためにも、ご参考のうえ、生前対策をしたり、相続発生後は、初回相談される際の参考にして頂ければ幸いです。

多くの事務所で相続の初回相談は無料で実施しております。
当事務所も初回相談は無料ですので、気軽にお問い合わせくださいませ。

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