ゆうちょ銀行の貯金口座の相続手続き
- 2021年2月7日相続
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ゆうちょ銀行の相続手続きも、通常の銀行・信用金庫・農協等と大きく異なることはありませんが、相続確認表の提出が必要である点、解約後の相続貯金の振込先がゆうちょ銀行の口座に限定されている点が特徴です。
1 ゆうちょ銀行は、通常の銀行・信用金庫等と異なる点
①前提作業として、相続確認表の提出が必要であること
②相続貯金の振込先が、ゆうちょ銀行に限定されること
相続人がゆうちょ銀行の口座をお持ちでない場合は、専門家の口座を経由して振り込むか、払戻証書を窓口に持参して一旦現金で受け取ることになります。
2 ゆうちょ銀行の貯金の相続手続きの流れ
①相続人調査(戸籍収集、法定相続情報証明書)
相続人調査については、土地建物の相続手続、銀行や信用金庫の預金、農協の貯金の手続と同じです。
相続手続きでは、法定相続人が誰かを確認する作業は絶対必要だからです。
相続人調査におけるポイントは、法定相続情報証明書を取得することです。
預貯金口座、土地建物、株式・投資信託など、複数の遺産がある場合は、法定相続情報証明書を取り寄せないと、相続手続が渋滞することになるからです。
複数の遺産がある場合は、法定相続情報証明書を取得してから、相続手続きを進めるようにしましょう。
②相続確認表の記入・窓口への提出
相続確認表の記入・提出作業は、ゆうちょ銀行に特有の作業です。
他の銀行・信用金庫・農協などは、前提作業を要せず、遺産分割協議が整い次第、あるいは、公正証書遺言に基づき、いきなり窓口におもむき、預貯金の解約手続きをすることが可能です。
もっとも、遺産分割の判断材料として、あるいは、相続税申告の資料のため、全店照会(預貯金の検索のこと)をしたり、残高証明書を取得したりする場合には、相続確認表の提出と同様の作業をすることになりますので、違いは大きくないと言ってよいでしょう。
相続確認表の記入作業ですが、記入する内容は次の通りです。
・親族図
・判明している貯金口座の記号・番号
・貯金調査依頼をする場合はその旨
・解約貯金の振込を希望する場合は、相続人又は専門家のゆうちょ銀行口座の記号・番号③遺産分割協議書・遺言書・相続放棄申述書等の提出
相続手続きは、相続人調査、遺産調査を経て、遺言書がある場合は遺言書に基づき、遺言書がない場合は相続人全員による遺産分割協議に基づき、相続手続きから離脱したい相続人については家庭裁判所への相続放棄をして、遺産の名義変更等を行います。
つまり、遺言書・遺産分割協議・相続放棄に基づき、どのように遺産を承継するかを決定するのです。
したがって、ゆうちょ銀行に限らず、預貯金口座の相続・解約手続きに際しては、次の書類の提出が必要です。
・公正証書遺言があれば、その遺言書
・法務局保管の自筆証書遺言があれば、その遺言書
・自宅で保管の自筆証書遺言があれば、その遺言書
・遺言書が無ければ遺産分割協議書・相続人全員の印鑑証明書
・相続放棄した相続人がいる場合は、相続放棄申述受理通知書これらの書類を窓口に提出して、貯金の解約・振込手続きを行います。
なお、②の段階で法定相続情報証明書を提出していても、再度提出を求められることもありますが、そこは素直に提出しておくとスムースに進みます。
④ゆうちょ銀行口座への振込み又は払戻証書による現金受取
ゆうちょ銀行の相続貯金を、振り込みで受け取りたい場合は、ゆうちょ銀行の口座でしか受け取ることができません。
そのため、相続人がゆうちょ銀行の口座をお持ちでない場合は、専門家のゆうちょ銀行口座を経由するか(振込手数料880円がかかります)、相続人に新たにゆうちょ銀行の口座を開設頂くこととなります。
振り込みではなく、現金での受け取りを選択した場合は、ゆうちょ銀行から送付されてくる払戻証書を窓口に持参して、一旦現金で受け取ることとなります。
振り込みの場合、ゆうちょ銀行の口座経由でしか受け取ることができないのは少々不便ですが、相続の専門家であれば、ゆうちょ銀行口座を持っているはずなので、振込手数料880円のみ甘受していただければ、お客様にご不便をおかけすることはありません。
⑤他の相続人への代償金の振り込み
相続手続きにおいては、遺言書や遺産分割協議で、代表相続人に主だった遺産を一旦相続させて、他の相続人に、お金を振り込む代償分割の方法がとられることが多いです。
遺言書や遺産分割協議書で代償金を定めた場合は、代表相続人は、他の相続人に代償金を振り込みます。
ちなみにこの代償金は、相続で取得した財産のため、贈与税の対象外です。
逆に、遺言書や遺産分割協議書に代償金の定めがないにもかかわらず、他の相続人にお金を振り込むと、税務署に贈与と判断される懸念がありますので、留意しましょう。
代償分割とは対照的に個別の口座ごとにバラバラに取得者を決める現物分割も可能ですが、手続が渋滞し、相続手続き期間が長期化する傾向にあります。
もっとも、現物分割は、自分の相続した遺産の振り込み手続きを、他の相続人任せにしないので、安心感はあるというのはメリットと言えるでしょう。
逆に、相続人間に一定の信頼関係がある場合は、現物分割ではなく代償分割が効率的と言えるでしょう。
以上、今回は、ゆうちょ銀行の貯金の相続手続のご案内でした。
ご不明な点は、気軽にご相談くださいませ。