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【60年放置!祖父名義の空き地を整理】相続人12名、面識のない親戚との複雑な遺産分割

【60年放置!祖父名義の空き地を整理】相続人12名、面識のない親戚との複雑な遺産分割 相続


<2022年解決事例>
(※プライバシーへの配慮から編集を施しております)

こんにちは。岐阜県各務原市の司法書士、西田博生です。

「親の相続手続きを始めたら、何十年も前に亡くなった祖父名義の土地が見つかった…」
「戸籍をたどったら、会ったこともない親戚が相続人になっていて、どう連絡すればいいか分からない…」

このようなお悩みを抱えていらっしゃる方はいませんか?

相続は、誰にでも起こりうる身近な手続きですが、時が経てば経つほど、関係者は増え、手続きは複雑化していきます。特に、何代も前の名義のまま放置された不動産は、解決を諦めてしまいたくなるほど大変なケースが少なくありません。

この記事では、実際にご依頼をいただいた
「60年前に亡くなったお祖父様名義の空き地の相続を、総勢12名もの相続人との間で円満に解決した事例」
をご紹介します。

父の遺品から見つかった「祖父名義」の納税通知書

今回ご相談に来られたのは、岐阜県にお住まいのE様です。

数年前にお父様を亡くされ、ご自身で相続手続きを進めていたところ、遺品の中から見慣れない土地の固定資産税納税通知書を発見しました。
納税者は父の名前になっていましたが、よく見ると、土地の名義人はなんと60年も前に亡くなった祖父のままだったのです。

その土地は、お祖父様の実家の近く(岐阜県内)にある空き地や田畑で、現在は誰も利用していません。
しかし、お父様が長年にわたって固定資産税を支払ってこられた土地でした。

E様は、この土地をご自身の名義に変更し、きちんと管理していきたいと考えました。しかし、いざ司法書士に依頼して戸籍を調べてみると、事態の複雑さに愕然とします。

司法書士が相続人の数を確定させるため、祖父の出生から死亡までの戸籍謄本を遡って収集・解読した結果、相続人は以下の合計12名にものぼることが判明したのです。

相続関係図

祖父の実子はE様の父を含め、三兄妹全員が亡くなっているため、その孫世代へ相続権が移りました。
さらに、一番下の叔母Bには子どもがおらず、叔母Bの配偶者も亡くなっていたため、配偶者のご兄弟へ相続権が移ります。
ところがこの叔母Bの配偶者のご兄弟(この時点でもう複雑)も亡くなっており、最終的にその子どもたち7名(義理叔父からみて甥・姪)が相続人となりました。

ここまで遠くなると、親戚とはいえほぼほぼ赤の他人です。
当然ながらE様と義理叔父の甥姪7名とは面識が全くありませんでした。

全く関わりのない方と、どうやって連絡を取ればいいんだろう…?
会ったこともないのにいきなり手紙を送って、かえって関係がこじれたりしないだろうか?

そもそも、この土地はどうやって分割すればいいんだ…?

ご安心ください。そういう時こそ専門家にお任せ!
どんなに複雑に見える相続でも、一つひとつ丁寧に紐解いていけば、必ず解決の道筋は見つかります。

専門家が「中立な案内人」となり、円満合意へ

E様のお話を丁寧にお伺いし、膨大な戸籍資料を精査した上で、当事務所は2つの解決方針をご提案しました。

【方針1】代償分割による円満解決
他の相続人全員に事情を説明し、E様がこの土地を単独で相続することに同意してもらう。
その代わり、他の相続人には、それぞれの法律で定められた相続分(法定相続分)に相当するお金(代償金)をE様が提示する方法。
費用はかかりますが、確実性が高く、円満に解決しやすいのがメリットです。
【方針2】これまでの経緯を説明し、協力をお願いする方法
E様の父親が長年にわたり固定資産税を支払い、土地を管理してきた事実を他の相続人の皆様へ説明します。
その貢献をご理解いただいた上で、E様が土地を単独で相続することに同意・協力してもらう方法です。
この場合、代償金の支払いをせずに済む(あるいは少額の謝礼で済む)可能性がありますが、相続人の皆様にご納得いただけない場合は、交渉が難航し、家庭裁判所での遺産分割調停や時効取得による民事訴訟に移行する可能性も考えられます。

これまで土地を守ってきてくれた父の想いを継ぎたい。
他の親族とは、できる限り穏便に、そして速やかに話を進めたいです。

そこで、私たちは交渉が難航するリスクを避け、円満かつ確実に解決しやすい【方針1】の代償分割による解決を目指すこととし、以下のステップで手続きを進めました。

ステップ1:司法書士が「中立的な書類作成人」として相続人の皆様へお手紙を発送

この案件の最も重要なポイントは、面識のない相続人の方々に、いかに安心して協力していただくかという点です。

相続人のお一人であるE様から突然手紙が届けば、相手は驚き、警戒してしまうかもしれません。
そこで、当事務所が中立な立場の法律専門家(司法書士)として、手続きの代書人となることをご提案しました。

具体的には、以下の内容を同封した手紙を、相続人である合計9名の方々へ発送しました。

◆司法書士からのご挨拶と手続き概要の説明書
受け取り手が突然の手紙に驚かれないよう、まずは挨拶から始めます。
その上でなぜご連絡を差し上げたのか、相続関係がどうなっているのか、法律の専門家として客観的かつ分かりやすく書面にて説明します。
◆E様ご本人からの直筆のお手紙
お父様が土地を守ってきた経緯や、ご自身が土地を相続したいという想いを、誠心誠意綴っていただきました。事務的な書類だけでは伝わらない、E様の真摯なお気持ちを伝えることが目的です。
◆意向確認のための回答書
相手方の負担を減らし、シンプルにご意向を示していただけるよう、チェックボックス形式の回答書を同封。

【回答書の内容】

☐ ① E様の単独名義とすることに同意します。代償金の支払いも不要です。 

☐ ② E様の単独名義とすることに同意しますが、法定相続分相当の代償金の支払いを希望します。 

☐ ③ その他(                     )

この丁寧なアプローチの結果、相続人の皆様からスムーズにご返信をいただくことができました。

結果、依頼人であるE様と面識があり、事情を理解いただけた妹さんと従兄弟の皆さんは、代償金不要で祖父の土地をE様が相続することに同意。
その他の遠い親戚に当たる7名の皆さんは代償金を支払うことで同意をいただけました。

これで、話し合いがこじれることなく、全員から「E様の単独取得」についてのご同意を得ることができので、次のステップに進めます。

ステップ2:遺産分割証明書の作成と代償金の支払い

相続人全員の同意が得られたところで、当事務所で「遺産分割証明書」を作成しました。
これは、「祖父の遺産である土地は、相続人Eが単独で取得します」という内容を証明する法的な書類です。

今回は相続人が全国各地にお住まいで、一堂に会して話し合うことが困難なため、相続人全員が一つの書類に署名押印する「遺産分割協議書」ではなく、各相続人がそれぞれ個別に署名押印できる「遺産分割証明書」の形式を取りました。これにより、手続きを効率的に進めることができます。

この遺産分割証明書を相続人全員に郵送し、署名・押印と印鑑証明書を添えて返送していただきました。

同時に、E様には代償金の支払い準備を進めていただきました。
今回の土地の固定資産税評価額は200万円でした。

代償金の支払いを希望された皆様の法定相続分は7名分の合計で25%でしたので、支払う代償金の総額は以下の通りです。

2,000,000円(評価額)×0.25(相続分)=500,000円

この50万円をそれぞれの相続分に応じて分け、ご指定の各口座へE様によりお振り込みいただきます。

ステップ3:法務局へ相続登記を申請し、手続き完了!

お手紙の発送から約4週間後、相続人全員から署名押印済みの遺産分割証明書と印鑑証明書が当事務所に返送されてきました。

お預かりした書類と、当事務所で作成した登記申請書を法務局に提出し、無事、お祖父様の名義から様の名義へと変更する相続登記が完了しました。

判明したときはどうなることかと思いましたが、60年もの間、複雑に絡み合っていた相続関係が整理できて、安心しました。

費用について

今回の手続きで必要になった費用は以下の通りです。
司法書士の報酬と、戸籍謄本取得や登記申請時に国に納める税金などの実費に分かれます。

項目司法書士報酬(税別)実費備考
戸籍調査130,00032,550亡祖父の出生~死亡まで、相続人12名分を含む戸籍・除籍謄本等52通の取得代行
相続人への通知書作成・発送代行63,000相続人9名様へのご案内状、意向確認書等の作成、発送、回収管理
遺産分割証明書作成30,000全員合意に基づく法的な証明書の作成
相続登記申請
(不動産の名義変更)
40,0008,000法務局への登記申請手続きの代理
登記情報取得3,972手続きの前後で不動産の登記内容を確認するための費用
合計263,00044,522
総額(税込)333,822

※上記に加え、相続人へお支払いした代償金500,000円が別途かかっています。 
※事案の難易度、相続人の数、不動産の数などにより費用は変動します。あくまで本件の事例としてご参考ください。

まとめ:複雑な相続こそ、専門家への早期相談が円満解決の鍵です!

今回の事例のポイントを振り返ってみましょう。

ポイント1:相続は放置すればするほど複雑になる
60年という時の経過が、相続人を12名にまで増やし、関係性を複雑にしていました。
もし、さらに次の世代に相続が発生すれば、関係者はネズミ算式に増えていきます。「おかしいな?」と思ったら、一日でも早く専門家に相談することが重要です。
ポイント2:会ったことのない相続人とのやり取りは専門家を介するのがスムーズ
利害関係のない第三者である司法書士が間に入ることで、相手方も安心して話を聞く態勢が整います。感情的なこじれを防ぎ、法律に基づいた客観的な事実を伝えることで、円満な合意形成をサポートします。
ポイント3:解決策は一つではない
相続財産の分け方には、現物をそのまま分ける「現物分割」のほか、今回のように一人が相続して他の人にお金を払う「代償分割」など、様々な方法があります。ご依頼者様のご意向や相続人の状況に合わせて、最適な解決策をオーダーメイドでご提案できるのが専門家の強みです。

岐阜県各務原市および周辺地域で、先代名義の不動産相続人が多くて複雑な相続手続きでお困りの方は、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。

初回のご相談は無料です。あなたのお悩みを、私たちが解決へのお手伝いをいたします。まずは、お気軽にお電話かメールでお問い合わせください。

当事務所は、
①円満相続については効率よい手続
②疎遠・複雑な相続については出来る限りの対処療法
③資産の凍結を防ぎたい・相続トラブルを予防したいご家族には家族信託・遺言・生前贈与などの生前対策
ご提案・ご提供することにより、皆様の安心・円満な相続と有効な資産の利活用にお役立ちすることを使命としております。

ご相談・ご依頼を心よりお待ち申し上げております。

西田博生

岐阜県各務原市の司法書士。
相談者の不安に寄り添う、分かりやすい対応を心がけている。専門性の高い案件を得意としている地域密着型事務所。

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