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【突然届いた市役所からの通知】税金未納!?疎遠な伯父の相続、どうすれば?

相続

<2022年解決事例>
(※プライバシーへの配慮から編集を施しております)

こんにちは。岐阜県各務原市の司法書士、西田博生です。

「亡くなった親族の市税を払ってください」
「あなたが相続人になりました」 

ある日突然、役所からこのような通知が届いたら、誰もが驚き、不安になることでしょう。
特に、何十年も会っていない、疎遠だった親族であればなおさらです。 

財産なんてあるか分からないし、借金があったらどうしよう…
手続きなんて何もわからない…

このようなご不安を抱えて、当事務所にご相談に来られる方は少なくありません。 

この記事では、実際に愛知にお住まいの方からご相談いただいた、「疎遠な伯父の相続」を解決した事例をご紹介します。
同じような状況で悩まれている方のご参考となれば幸いです。 

 ご相談内容:会ったこともない伯父の相続人に… 

愛知県在住・40代(女性)です。 

昨年の秋頃、兵庫県神戸市に住んでいた伯父が亡くなったようで、年末に神戸市役所から「相続人代表者の指定届」という一通の書類がわたしと妹(愛知県在住)の元に郵送されてきました。

わたしたちの母は既に亡くなっています。
母に独身の弟がいることは知っていましたが、わたしたち姉妹と伯父は長年疎遠な関係だったため、寝耳に水の出来事でした。

書類の内容は、

伯父の未納市県民税の納税義務が、法律上の相続人であるあなた方姉妹に引き継がれます。
つきましては、納税の代表者を指定してください。
もし相続放棄をされる場合は、期限内に手続きを済ませ、相続放棄申述受理通知書のコピーを提出してください

というものでした。 

突然の通知に大変驚き、わたしも妹も「伯父の借金まで相続してしまったらどうしよう」と不安でいっぱいです。
どのように行動したらよいでしょうか?

なぜ、伯父の相続人に? 

今回のケースの相続関係は少し複雑です。まずは図で見てみましょう。

相続関係図

 亡くなった方に子や孫(第1順位)、親や祖父母(第2順位)がいない場合、兄弟姉妹(第3順位)が相続人となります。 

相談者様の伯父には子も親もおらず、姉弟は相談者様のお母様だけでした。
しかし、そのお母様も既に亡くなっています。

このような場合、亡くなった兄弟姉妹の子が代わりに相続人になる 「代襲相続 (だいしゅうそうぞく)」という制度が適用されます。 

そのため、相談者様姉妹がお母様の代わりに伯父の相続人となったのです。 

タイムリミットは「知った時から3ヶ月」 

相続には、「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つの選択肢があります。 

  • 単純承認・・・財産も借金もすべて受け継ぐ 
  • 限定承認・・・プラスの財産の範囲内で借金を返済する(手続きが非常に複雑) 
  • 相続放棄・・・財産も借金もすべて受け継がない 

これらの選択は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に行わなければなりません(民法第915条第1項)。

この3ヶ月という期間を「熟慮期間」と呼びます。 

今回の場合、伯父が亡くなった日(2021年秋)ではなく、市役所から通知が届き、ご自身が相続人であることを知った日(2021年末)から3ヶ月がスタートします。

この通知書は「知った時」を証明する重要な証拠となるため、当事務所でコピー・スキャンさせて頂き、原本は大切に保管していただくようお伝えしました。 

2つの選択肢:「調査」か「即時放棄」か 

熟慮期間内にすべきことは、大きく分けて2つです。 

  1. 遺産を調査せずに、速やかに相続放棄する 
  2. 遺産を調査した上で、相続するか放棄するかを決める 

疎遠な親族の相続では、多くの方が ①の「即時相続放棄」 を選ばれます。
なぜなら、プラスの財産が不明な一方で、借金や保証債務といったマイナスの財産が潜んでいるリスクを完全に調査しきることが非常に困難だからです。 

伯父とは何十年も会っておらず、財産状況は全く見当もつきません。
万が一にでも借金を背負うリスクは避けたいです。

相談者様姉妹もリスクは避けたいとのご意向でしたので、遺産調査は行わず、速やかに相続放棄の手続きを進める方針で一致しました。  

もし遺産調査をするとなると、本件のように疎遠な親族が相手の場合、大変な時間と費用、そして多大な労力がかかることを念頭において行う必要があります。

特に株式や債務の調査は相続放棄の期限である3ヶ月に間に合わない可能性が高く、その場合は家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申し立てる必要があります。

疎遠な親族の場合、労力や費用をかけて調査しても、結果的に借金しか見つからなかったというケースも少なくありません。
そのため、本件の場合相続放棄を選択することが望ましいと考えられます。

【補足】遺産調査をする場合の目安
調査対象調査内容期間の目安難易度・注意点
不動産最後の住所地で「名寄帳」を取得。1週間~住所地以外の市町村の不動産は調査が困難。遠方の故人の家の中を調査する必要があり、期間的に現実的ではない。
預貯金金融機関で全店照会、残高証明書を請求。1ヶ月~どの銀行に口座があるか不明な場合、一つひとつ当たる必要があり時間がかかる。
株式証券保管振替機構へ情報開示請求。2ヶ月以上開示請求に約1ヶ月、その後各証券会社への残高証明請求に1ヶ月以上かかり、3ヶ月の熟慮期間を過ぎてしまう可能性が高い。
債務・借金信用情報機関(CIC, JICC, KSC)へ情報開示請求。1~2ヶ月個人の借金や保証人になっている債務は調査できない。これが最大の落とし穴。

このように、調査には多大な時間と手間がかかります。
そのため、多くの方が調査をせずに相続放棄を選択されるのが実情です。

相続放棄の流れ

方針が決まれば、あとは司法書士にお任せください。
相続放棄の手続きは、以下の流れでスムーズに進めます。

1.必要書類のご準備(ご依頼者様)

相談者様姉妹にご準備いだく書類

  • ご自身の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
  • ご自身の住民票
  • 亡くなられたお母様の出生から死亡までの連続した戸籍

直系の親族の戸籍なので、これらは最寄りの市役所1ヶ所でまとめて取得することができます。

2.司法書士による戸籍の代行取得

次に、私ども司法書士が、お預かりした戸籍を元に、亡くなった伯父の戸籍を収集します。

  • 伯父の出生から死亡までの連続した戸籍
  • 伯父の住民票の除票(または戸籍の附票)

本籍地が遠方(今回は兵庫県神戸市)であっても、相談者様から委任状を頂いて、「相続放棄のため神戸家庭裁判所に提出するという」目的を明示し、郵送にてスピーディーに代行取得が可能です。(通常1~3週間程度)

3.相続放棄申述書の作成・提出

すべての戸籍が揃ったら、私どもが家庭裁判所に提出する「相続放棄申述書」を作成します。
相談者様姉妹には、内容をご確認の上、署名と押印をいただくだけです。


完成した申述書は、伯父最後の住所地を管轄する神戸家庭裁判所へ、司法書士が責任をもって郵送で提出します。

その際、市役所から届いた「相続人代表者の指定届」のコピーも同封し、「この通知によって初めて相続人であることを知った」という事実を裁判所に証明します。

4.裁判所からの照会(意思確認)

申述書を提出してから数週間後、家庭裁判所から相談者様姉妹のご自宅へ、「照会書」という手紙が届くことがあります。
これは「本当にご自身の意思で相続放棄をしますか?」という最終確認です。
回答書の書き方がご不明な場合は、司法書士が電話等でサポートしますのでご安心ください。

5.相続放棄申述受理通知書の受領

すべての手続きが完了すると、裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が発行され、当事務所に届きます。これで、法的に相続放棄が受理されたことになります。申述書の提出から、通常1ヶ月前後です。

6.関係各所への連絡

当事務所にて、受理通知書の原本1通とコピーを各5枚程度用意し、相談者様姉妹へお渡しします。

また、通知が来ていた神戸市役所の市民税課へは、私どもからFAXで受理通知書を送付し、納税義務がなくなったことを報告いたしました。これで、今後市役所から督促が来ることはありません。

この一連の流れにより、相談者様姉妹は、煩雑な手続きに頭を悩ませることなく、無事に相続放棄を完了させることができました。

費用

項目報酬(税別)実費備考
戸籍代行取得27,500円5,500円2,500円/通 × 11通分。
相続放棄申述書作成・提出代行50,000円1600円ご姉妹2名様分の料金です。
合計77,5007,100

合計費用(税・実費込):約93,000円~
※上記は今回の事例の金額です。戸籍の通数などにより変動します。

まとめ:不安な相続は、まず専門家にご相談を

今回は、疎遠な親族の相続人となり、突然の通知に不安を抱えていた相談者様が、司法書士に依頼してスムーズに相続放棄を完了した事例をご紹介しました。

相続放棄には「知った時から3ヶ月」という厳しい期間制限があります。
市役所や金融機関、債権者などから通知が届いた場合は、決して放置せず、お早めに専門家にご相談ください。

特に、岐阜県愛知県にお住まいで、

  • 疎遠な親族の相続人になってしまった
  • 役所から納税通知や督促状が届いた
  • 借金を相続しないか不安
  • 手続きが複雑で何から手をつけて良いか分からない

という方は、ぜひ一度、当事務所の無料相談をご利用ください。
ご依頼者様の状況を丁寧にお伺いし、最善の解決策をご提案いたします。
戸籍の収集から裁判所への手続き、関係各所への連絡まで、すべて司法書士が代行することで、皆様の心のご負担を少しでも軽くするお手伝いができればと考えております。

一人で悩まず、まずはお気軽にご連絡ください。

当事務所は、
①円満相続については効率よい手続
②疎遠・複雑な相続については出来る限りの対処療法
③資産の凍結を防ぎたい・相続トラブルを予防したいご家族には家族信託・遺言・生前贈与などの生前対策
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