〈2014年解決事例〉
(※プライバシーへの配慮から編集を施しております)
相談内容…母の遺産相続、相続人の甥が中国在住
同居していた母が7年前に亡くなりましたが、母の遺産相続手続きが手つかずです。
母の遺産は、自宅、上場株式、投資信託です。
相続人は、母よりも前に他界している姉の子どもたち(相談者からみた甥)3名と私の合計4名です。
甥たちからは全財産を長男の私が取得することで了承を得ています。
甥3名は、東京、福岡、中国に点在しており、特に海外に在住している甥に関して、どのように手続きを進めていけばよいか困っています。
遺産分割協議には相続人全員の実印押印と印鑑証明書の提出が必要とのことですが、どんな段取りで甥の実印と印鑑証明書をもらえばよいでしょうか?
実際の解決方法・解説
1,相続人各自がサインする遺産分割証明書を送付
相続人が日本全国や海外に離れて暮らしている場合には、遺産分割協議書ではなく、遺産分割証明書を、司法書士から全ての相続人に送付します。
遺産分割協議書に一人がサインするごとに郵送していると、時間がかかり、書類紛失のリスクもあるからです。
遺産分割協議書=一枚の書類に全員がサインする
遺産分割証明書=別々の書類に各自がサインする
2,国内在住の相続人は、実印押印と印鑑証明書
国内在住の甥には、遺産分割証明書を郵送して、実印押印いただき、印鑑証明書を同封してご返送頂きます。
実印登録のない方には、役所に印鑑と本人確認資料をお持ちいただき、実印登録して頂きます
3,海外在住の相続人には、領事館に遺産分割証明書を持参して奥書証明を受け、在留証明書も発行してもらう
中国在住の甥には、こちらからメール送信した遺産分割証明書を印刷していただき、日本領事館にパスポートと共に持参していただきます。
領事館では遺産分割証明書にサインし、奥書証明を受け、在留証明書を発行してもらいます
その後、奥書証明された遺産分割証明書、在留証明書の2点を司法書士に郵送いただきます。
4,相続登記
全員の遺産分割証明書、印鑑証明書、在留証明書が揃い次第、司法書士が相続登記を申請します。
(※2017年5月29日以降は法定相続情報も同時申請)
相続登記完了後、登記書類一式と相続証明書ファイルを相談者様に納品します。
相続証明書ファイルには、遺産分割証明書、印鑑証明書、在留証明書、戸籍一式が同封されておりますので、預金や有価証券などの遺産の相続手続にご使用ください。
5,株式・投資信託の相続手続
株式や投資信託の相続・移管手続きは、お渡しした相続証明書ファイル一式を使用してご自身で行っていただきました。
まず、ご自身にて証券会社に連絡し、相続手続依頼書を取り寄せます。証券口座を持っていないときは、証券口座開設申込書も合わせて取り寄せてください。
相続手続依頼書・証券口座開設申込書への記入には、配当金受け取り銀行口座とマイナンバーが必要です。
次に、相続手続依頼書と証券口座開設申込書に必要事項を記入した上、相続証明書ファイルを同封して証券会社に郵送します。
2~3週間後に証券口座が開設され、株式の移管手続きが完了します。
移管後は、自己責任での運用となりますが、対応方法は、おおまかに次の3つです
- 相続で開設した証券口座内で株式等を長期保有
- すぐに売却して相続で開設した証券口座を解約
- いつも使っている別の証券口座に移管して、相続で開設した証券口座を解約
概算費用(遺産額500万円/4物件)
項目 | 報酬 | 実費 |
---|---|---|
事前登記情報 | 1,324 | |
戸籍代行取得22通 | 55,000 | 16,500 |
相続関係説明図 | 10,000 | |
遺産分割証明書 | 10,000 | |
捺印サポート 甥3名 | 15,000 | |
相続登記 | 44,000 | 20,000 |
事後登記情報 | 1,324 | |
小計 | 134,000 | 39,148 |
消費税 | 13,400 | |
合計請求額 | ¥186,548 |
まとめ
- 相続人が遠方で集まることができないときは、司法書士から相続人に遺産分割証明書を送ってもらい、実印と印鑑証明書を手配してもらいましょう。
- 国内在住の相続人は、遺産分割証明書へのサインと実印押印、印鑑証明書の同封でOKです。
- 海外在住の相続人は、領事館での遺産分割証明書へのサインと奥書証明、在留証明書の発行が必要です。
当事務所は、
- 円満相続については効率よい手続
- 疎遠・複雑な相続については出来る限りの対処療法
- 資産の凍結を防ぎたい・相続トラブルを予防したいご家族には家族信託・遺言・生前贈与などの生前対策
ご提案・ご提供することにより、皆様の安心・円満な相続と有効な資産の利活用にお役立ちすることを使命としております。
今回の事例は円満相続でしたので、効率的に進めつつも、甥の皆様に失礼と思われないように意識して手続させて頂きました。
現在又は将来の相続でお悩みのあなたが、いま何をできるかをご提案させて頂きます。ご相談・ご依頼を心よりお待ち申し上げております。