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【相続登記が義務化】数次相続11回!!祖母名義の空き地、複雑な相続手続きを解決

【相続登記が義務化】数次相続11回!!祖母名義の空き地、複雑な相続手続きを解決 相続

こんにちは。岐阜県各務原市の司法書士、西田博生です。

うちの田舎の土地、ひいおばあさんの名義のままなんだけど、どうしたら…

相続人が何十人もいるらしくて、どうしようもない、困った…

岐阜県や愛知県で、このようなお悩みを抱えていませんか?

相続登記が2024年4月から義務化され、何代も前の先祖名義の不動産を放置しておくことは、将来の大きなトラブルの種となります。
義務化以前に発生した相続不動産も対象であり、正当な理由なく放置すれば10万円以下の過料が科される可能性があります。

今回は、戦前に亡くなった祖母名義の不動産の相続手続きを放置していた結果、代替わりが進んでしまい、11回の相続(数次相続)を経て相続人が20名にまで膨れ上がってしまった非常に複雑な事例をご紹介します。

まさに「どうしていいか分からない」典型例とも言える事例です。

この記事を読めば、同じような状況でも解決の道筋があること、そして専門家に相談する具体的なメリットがお分かりいただけます。

ご相談内容:戦前に亡くなった祖母名義の土地

「戦前に亡くなった祖母名義の土地の相続について相談したい」――お問い合わせくださったのは、70代のYさんです。

Yさんは息子さんの助言により、このまま祖母の不動産を放置しておくことのリスクを感じてご連絡くださいました。
相続登記の義務化が施行される2年前(2022年)のことです。

早速、Yさんのご自宅へ出張相談に伺い詳しくお話をお聞きすると、問題の根深さが明らかになっていきました。

相続人総勢20名、複雑な相続関係図

複雑な家族関係

祖母は、婚姻関係にあった方とそうでない方を含め、2名の男性との間に計7名の子がいました。
さらに、祖母が亡くなった後に夫が亡くなりましたが、この夫も再婚で前妻との間に4名の子がいました。

11回の数次相続

祖母が亡くなってから現在に至るまで、お子さん、お孫さんの代で次々と相続が発生
その数、実に11回
結果として、3代という時間経過の中で、現在の相続人は面識もほとんどない方々を含め、合計20名にまで膨れ上がっていたのです。

数次相続とは
最初の相続が発生した後、相続手続きが終わらない内に相続人が死亡し、その次の世代の相続が始まってしまうこと。
数次相続の回数が増えれば増えるほど、事態は複雑になっていきます。
そのため、できるだけ早い段階で解決することが重要です。

【問題の不動産詳細】

項目内容
対象不動産岐阜県の山沿いにある空き家の敷地(共有持分)
固定資産税評価額約50万円
登記名義人Yさんの祖母。戦前に死亡
固定資産税の状況成り行きでYさんのもとへ納税通知書が届いている状態
問題の核心祖母の死亡後に11回の数次相続が発生し、相続人が20名に膨張

専門家としての見立てと懸念点

相続開始時点から相当な時間が経っていること、相続人があまりに複雑な関係であることを踏まえると、手続き費用がかなり高額になることが予想されました。
不動産の評価額は約50万円ですので、純粋に経済合理性だけで考えれば、割に合わない案件です。

【3つの壁】
①戸籍収集の壁
11回分の相続をすべて証明するため、膨大な量の戸籍謄本等を取り寄せる必要があります。
戦前の古い戸籍は手書きで読みづらく、各地に本籍を移された方の戸籍を追いかける作業は困難を極めます。

②相続人との交渉の壁
20名全員に連絡を取り、事情を説明し、協力を取り付ける必要がありました。中には手紙を無視したり、警戒心から非協力的な対応をされる方が現れる可能性は十分に考えられました。

③登記手続きの壁
もし全員の協力が得られない場合、非常に複雑な相続登記と、各相続人が取得した持分の贈与という登記を何重にも申請する必要がありました。

もし協力が得られない相続人が出た場合は、その方々の持分は残したまま、協力的な方の分だけをYさんに集約する方法を目指しましょう。
将来的に、残った数名に対して弁護士を通じて共有物分割訴訟を起こす、という次のステップに進むことができます。

正直なところ、8割以上の方がこの段階で手続きを諦めてしまいます
しかし、Yさんは将来を見据える先見性と、強い責任感、そして経済的なご覚悟をお持ちでした。

結果的に数年後に相続登記が義務化となり、覚悟を決めてお願いして正解でした

解決への道のり:20名の相続人への手紙と26件の登記手続き

Step 1:戸籍調査(約1カ月)

ご依頼を受けた後、最初に行うのが戸籍の収集です。
戦前の古い戸籍や、各地に本籍を移された方の戸籍を追いかける作業は困難を極めます。
約1カ月かけて合計80通を超える戸籍謄本等を収集し、最終的な法定相続人(20名)が確定しました。

通常の相続登記では戸籍は10~20通程度ですので、80通超という数がいかに多いかわかりますね。

Step 2:20名の相続人へのアプローチ

次に、司法書士が代書人・中立的な手続案内人として、相続人全員に手紙を送付します。
手紙には、今回の経緯、Yさんが名義をまとめたい意向であること、そしてご協力のお願いを丁寧に記しました。

戦略的な判断:少額でもメリットを提示する

この土地は山沿いの空き家敷地であり、建物の解体費用などを考えれば、実質的な資産価値はマイナスです。
しかし、それでは協力をお願いするインセンティブがありません。

そこで、解体費用は度外視し、土地の評価額50万円を基準に算出した法定相続分に相当する代償金をお支払いするという条件を提示しました。
たとえ少額でも、相手方にメリットを提示することで、円滑な合意形成を目指せます。

(20名全員の問題をYさんが尽力して解決しようとしているという事情は、なかなか他の共同相続人の方には伝わりにくいものです。)

【相続人の回答結果】

相続人の反応人数備考
協力的①:代償金不要でYさん名義に協力9名事情をご理解いただき無償で協力
協力的②:代償金の受領と引き換えに協力8名法定相続分相当額をお支払い
反応なし(無視)2名手紙に対して一切の返信なし
非協力的(高圧的な対応)1名「顔を見せて頼みに来い」と要求
合計20名

遠方の1名の方からは高圧的な連絡がありましたが、Yさんのご意向もあり、直接の対峙は避け、冷静に手続きを進めることにしました。

Step 3:複雑な登記手続きの実行

20名中17名もの方から協力の意思が得られました。この貴重なご厚意を無駄にはできません。

ご協力いただいた17名の方から実印の押印と印鑑証明書をいただき、Yさんへ名義を集約するための登記手続きを実行しました。

その内容は――

  • 相続登記:11件(一部、遺産分割協議に基づく相続登記を含む)
  • 相続した持分の贈与による移転登記:15件

合計26件という、司法書士でも稀にしか経験しないような、複雑かつ多数の登記申請となりました。

もし20名全員から協力が得られた場合は原則として1件の登記申請でYさん名義にすることができます。
しかし、3名の非協力者がいたため、協力者の持分を一つずつYさんに集約する個別の登記が必要となり、結果的に26件もの申請になったのです。

解決前と解決後の比較

暗い空き地

解決前

  • 権利関係者は総勢20名(面識のない多数の相続人)
  • 不動産を売りたくても、20名全員に対して交渉又は訴訟が必要で身動きが取れない
  • このまま放置し続ければ相続人が雪だるま式に増え続け、解決するのがより不可能に近くなる
矢印
明るい空き地

解決後

  • 権利関係者は4名(Yさん+非協力者3名)
  • 弁護士を通じた裁判手続き(共有物分割訴訟)の相手が非協力者3名に絞られる
  • 問題が3名に限定され、将来的な解決が現実的になった

費用について

今回の手続きにかかった費用は以下のとおりです。

項目金額(税込)内訳
司法書士報酬590,480円戸籍調査(82通)、相続関係説明図11件、相続人17名への通知・回答書回収、遺産分割証明書・相続分贈与証書作成、登記申請(相続11件、相続分贈与15件)等
実費66,000円登録免許税、戸籍謄本等取得費用、郵送費等
合計656,480円

※報酬額は、戸籍の通数、相続人の人数、登記の件数など、事案の難易度によって変動します。

まとめ:20名の問題を4名に集約できたことの大きな価値

今回の事例の最大の成果は、「20名が関わる身動きの取れない問題を、将来的に裁判などで解決可能な4名の問題にまで縮小できた」という点にあります。

もしこのまま放置していれば、非協力的な3名以外の方々にもいずれ相続が発生し、さらに相続人が増え、解決はより一層困難になっていたでしょう。
Yさんの先見の明と、問題を先送りしないという強い意志があったからこそ、この成果が生まれました。

  • ポイント1:「費用倒れ」でも解決する価値がある場合がある
  • ポイント2:全員の協力が得られなくても前に進める
  • ポイント:相続登記義務化で「放置」はもう許されない

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。

義務化以前の相続で未登記の不動産も対象です。「複雑すぎるから」は正当な理由として認められる場合もありますが、放置し続けることが許される時代は終わりました

岐阜・愛知地域で、何代も前の先祖名義の不動産、多数の相続人がいる空き家や山林の相続でお困りの方。
「うちのケースは複雑すぎる」「費用がかかりそう」と諦める前に、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。一つ一つ丁寧に関係を紐解き、ご依頼者様にとって最善の解決策をご提案いたします。

当事務所は、
①円満相続については効率よい手続
②疎遠・複雑な相続については出来る限りの対処療法
③資産の凍結を防ぎたい・相続トラブルを予防したいご家族には家族信託・遺言・生前贈与などの生前対策
ご提案・ご提供することにより、皆様の安心・円満な相続と有効な資産の利活用にお役立ちすることを使命としております。

ご相談・ご依頼を心よりお待ち申し上げております。

西田博生

岐阜県各務原市の司法書士。
相談者の不安に寄り添う、分かりやすい対応を心がけている。専門性の高い案件を得意としている地域密着型事務所。

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