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【子どものいない夫婦の相続】自宅の相続登記、前妻、前々妻の子から印鑑をもらう事例

子どものいない夫婦の相続、前妻、前々妻の子から印鑑をもらう事例 相続

〈2017年解決事例〉
(※プライバシーへの配慮から編集を施しております)

相談内容…亡き夫には前妻、前々妻の子がいる。自宅に住み続けることはできる?

先日、夫を75歳で亡くしました。
2人で20年間暮らしてきた夫名義の自宅の相続登記をお願いしたいです。
夫の遺産は自宅とわずかな年金口座のみです。
私たち夫婦の間に子はおりません。

相続関係図

今後も住み慣れた自宅で過ごしたいです
夫には離婚歴があり、前妻との間に子供があることは聞いていました。
前妻との間の子と連絡を取ったことはなく、どのように連絡を取って印鑑をもらえばよいでしょうか?

概算費用(遺産額500万円/2物件)

項目報酬実費
事前登記情報
662
戸籍代行取得15通37,50011,250
相続関係説明図10,000
遺産分割証明書10,000
捺印サポート 2名10,000
相続登記42,00020,000
事後登記情報
662
抵当権抹消登記15,0002,000
事後登記情報
662
小計124,50035,236
消費税12,450
合計請求額¥172,186

以下、時系列に沿って解説いたします。

手続きの流れ…法定相続分を支払うことができない場合の解決策

1,戸籍調査・相続人調査をする

まずは、夫の出生から死亡までの連続全戸籍を集めます。
司法書士が、戸籍の内容を精査し、夫に、実子・認知した子・養子縁組した子などがないか確認します。

夫の出生からの全戸籍を調べると夫の子が判明します
子がいるときは、子の現在の戸籍と戸籍の附票を取り寄せます。
【※戸籍の附票(ふひょう)・・・戸籍に付随する住所証明書のこと】

以上により、夫の相続人が次のとおり判明します。

【相続人】
・現在の妻(ご相談者様・後妻様)
・前々妻の子(東北在住)
・前妻の子(東北在住)

2,前々妻の子、前妻の子に手紙を出す

相続人が確定したら、相続人に下記の内容で手紙を出します。

・訃報のお知らせ
・遺産の概要
・相続手続についての意向確認(回答書を同封し、次の中からご選択いただきます。)

【意向確認】
□後妻が自宅を相続することに了承する
□法定相続分での登記を希望する
□その他

ここで注意すべき点は相続人である子A、Bには「法定相続分を現金で受けとる」という選択肢もあるということです。


相談者様はご高齢で、健康状態は芳しくなく、経済的にも支払い余力がない状態でしたので、お金を支払うという選択の余地はありませんでした。また、相談者様のご希望は今後もご自宅に住み続けることですので、自宅を売却して法定相続分を支払うことも避けたい。


よって、法定相続分を主張された場合は、自宅を共有で相続登記することになる旨をご理解いただきます

自宅の評価 5,000,000 円
◇相談者様(後妻)の法定相続分
¥5,000,000×1/2 = ¥2,500,000
◇前々妻の子の法定相続分
¥5,000,000×1/2×1/2= ¥1,250,000
◇前妻の子の法定相続分
¥5,000,000×1/2×1/2= ¥1,250,000
→奥様に 125 万円~250 万円の支払い余力はない。

相談者様にとっては幸いにも、前妻と前々妻の子お二人には生き別れた父の遺産への執着等はなく、相談者様が自宅等一切の遺産を相続することについて快諾をいただけました。

子お二人の希望は、亡父にお参りをさせて頂きたいとのことでしたので、相談者様にお伝えしてお参りをして頂きました。

3,遺産分割証明書を送付する

前々妻の子、前妻の子に遺産分割証明書を郵送し、実印押印いただき、印鑑証明書を同封してご返送頂きます。

 実印登録のない方には、役所に印鑑と本人確認資料をお持ちいただき、実印登録して頂きます。

4,相続登記

遺産分割証明書が返送され次第、相続登記をします。
2週間ほどで登記が完了します。

5,団信で完済された住宅ローンの抵当権抹消登記

住宅ローンが団信で完済されたため、銀行から発行された抵当権解除書類を受け取り、抵当権抹消登記をします。

以上で、手続完了です。

まとめ

子なし夫婦の相続で前妻の子がいる場合、後妻にとっては、事態は非常に深刻になり得ます。
前妻の子に2分の1の法定相続分を主張された場合、法的に反論の余地がほとんどないからです。

知らなかった!

法定相続分を主張されたら、法的には反論の余地がほとんどな

いなんて・・・
住み慣れた自宅を手放すことにならずに本当に良かった

お金を払うか、遺産を共有するか、懇願するかの3択です。いずれにしても相手の対応次第です。

相続時のトラブルを避けるために、特に離婚歴があり、前妻の子、前夫の子がいる方は、配偶者や子に負担をかけないためにも、キチンと遺言公正証書や家族信託などの生前対策をして、ご自身の遺産の受取人や割合を指定しておきましょう。

当事務所は、
①円満相続については効率よい手続
②疎遠・複雑な相続については出来る限りの対処療法
③資産の凍結を防ぎたい・相続トラブルを予防したいご家族には家族信託・遺言・生前贈与などの生前対策
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