〈2017 年解決事例〉
(※プライバシーへの配慮から編集を施しております)
相談内容…自宅に住み続けたい!義理兄弟姉妹、甥姪の印鑑をもらいたい
先日、夫を亡くしました。自宅の名義変更(相続登記)をお願いしたいです。
私たち夫婦の間に子はおりません。
夫は4人兄弟です。一番上の義兄は数年前に亡くなっており、その子(甥、姪)が2名おります。
相続人は、妻の私、義姉、義妹、甥姪の5名。私以外の4名は夫の故郷である九州で暮らしております。


義理の姉妹とは連絡が取れ、私が自宅などの全財産を相続することについて了解をもらっています。
甥姪も、義理の姉妹経由ではありますが、特に反対する様子はないようです。
自宅の相続登記をどのように進めたらよいでしょうか?
手続きの流れ…ポイントは義理兄弟姉妹・甥姪の同意!
1,最重要ポイントは、義理の兄弟姉妹・甥姪の同意
生前対策の備えなき子なし夫婦にとっての相続の分岐点は、「義理の兄弟姉妹・甥姪全員から同意を得られるか」の一点です。
全員から同意を得られれば、司法書士が段取りよく進める限り、何も問題は起こりません。
逆に全員から同意を得られなければ、法定相続分を支払うことになります。
法定相続分と言われたら、少なくとも法的には反論の余地は、ほとんどありません。
「そこを何とか譲ってください」というのであれば、相続人同士でよく話し合っていただくことが必要です。

今回の自宅不動産の時価は2000万円ほどのため、仮に全員に法定相続分を主張されたら、最大500万円のお金を払わなければ、奥様は自宅を取得できないこととなります。
今回は幸いにも全員から同意が得られましたが、全員からスムーズに同意が得られるケースはむしろ少数です。
こちらの相談者様はラッキーなケースでした。
【スムーズに同意が得られないパターン】
- 普通に法定相続分を主張される
- 手紙を出しても無視・放置される
- 他の相続人が無料法律相談で「あなたには法定相続分があり請求すべき」とアドバイスされ、受け売りの判断をする
- トラブルに発展し、他の相続人が弁護士を立て弁護士から手紙が届く
などなど様々
2,子なし夫婦の戸籍調査は、子あり夫婦の2倍
子なし夫婦の相続で集める戸籍は、次の通りです。
亡くなった配偶者の戸籍だけでなく、配偶者の両親の戸籍も全部取得するのがポイントです。
①亡くなった配偶者の出生から死亡までの戸籍
→配偶者に子がいないことを確認
②亡くなった配偶者の両親の出生から死亡までの戸籍
→配偶者の兄弟姉妹全員を確認
③兄弟姉妹全員の戸籍と戸籍の附票
→兄弟姉妹の生存と住所を確認
3,遠方の相続人には遺産分割証明書を各別に郵送してご返送いただく
通常、遺産分割といえば、相続人全員が1枚の書類に署名・実印押印する遺産分割協議書が一般的です。
しかし、遠方で離ればなれに生活している相続人に1枚の書類に全員の署名・実印押印を頂くとなると、時間がかかり、書類紛失のリスクが高まります。
そこで、遠方で離ればなれに生活している相続人には、遺産分割証明書という様式で、押印を集めることにしています。

遺産分割協議書=一枚の書類に全員がサインする
遺産分割証明書=別々の書類に各自がサインする
4,全員の遺産分割証明書が揃い次第、相続登記
相続人全員から遺産分割証明書が返送され次第、相続登記を申請します。
2週間ほどで登記が完了し、登記完了書類の納品とともに費用を請求させて頂き、手続完了です。
概算費用(遺産額2000万円/2物件)
項目 | 報酬 | 実費 |
---|---|---|
事前登記情報 | 662 | |
戸籍代行取得21通 | 52,500 | 15,750 |
相続関係説明図 | 10,000 | |
遺産分割証明書 | 25,000 | |
捺印サポート 4名 | 20,000 | |
相続登記 | 57,000 | 80,000 |
事後登記情報 | 662 | |
小計 | 164,500 | 97,074 |
消費税 | 16,450 | |
合計請求額 | ¥278,024 |
まとめ…いざという時揉めないために
夫を亡くしてお一人様になったが、義理の兄弟姉妹から冷たくされ、夫の遺産相続が進まない・・・。
そんな事態とならないために、子供のいないご夫婦は、お互いに生前の備えが必要です。
子なし夫婦の方は、賢く生前対策(遺言・家族信託)をして、将来の相続の不安を取り除いておきましょう

当事務所は、
①円満相続については効率よい手続
②疎遠・複雑な相続については出来る限りの対処療法
③資産の凍結を防ぎたい・相続トラブルを予防したいご家族には家族信託・遺言・生前贈与などの生前対策
ご提案・ご提供することにより、皆様の安心・円満な相続と有効な資産の利活用にお役立ちすることを使命としております。
現在又は将来の相続でお悩みのあなたが、いま何をできるかをご提案させて頂きます。ご相談・ご依頼を心よりお待ち申し上げております。