解決事例Solution Cases

【若くして夫が急逝】相続人に未成年が含まれる場合の解決法

【若くして夫が急逝】相続人に未成年が含まれる場合の解決法 相続

  〈2019年解決事例〉 
(※プライバシーへの配慮から編集を施しております)

40代で夫を亡くされた女性が、未成年の子どもたちとともに、自宅と預金すべてを相続したケースについてご紹介します。
当事務所がどのようにサポートし、問題を解決に導いたのかを具体的に解説します。 

相談内容 

岐阜県各務原市在住、40代女性です。

夫が急逝しました。子どもたちはまだ高校生と中学生で未成年です。
突然のことで戸惑っており、取り急ぎ相続についてご相談に伺いました。

相続財産の内訳
  • 自宅の土地建物:評価額800万円 
  • 預金:2,000万円 
  • 自動車:50万円 
負債とその他の状況 
  • 死亡保険金:1,000万円(受取人は妻である相談者様であり、こちらは相続手続き不要)
  • 住宅ローン…団体信用生命保険に加入していたため、保険金により完済
  • 葬儀費用・医療費…約100万円。保険金で支払い済み

自宅の名義変更、預金の解約、自動車の名義変更といった相続手続き(遺産分割協議)を行いたいのですが、子どもたちはまだ未成年のため、どのように手続きを進めたらよいでしょうか?

相続関係図

相続人に未成年者が含まれる場合の解決法

今回のケースで最も重要な問題は、お子さんが2人とも未成年者(2019年当時は20歳未満が未成年者)であるという点でした。
亡くなられたご主人様には遺言書がなく、相続人である残されたご家族で遺産分割協議を行う必要があります。

しかし未成年者は法律上、自分自身で遺産分割協議を行うことができません

また、当人同士が納得していたとしても、法律上は相談者様とお子さんたちの間では、遺産分割において利害が対立することになり、親権者である相談者さまであってもお子さんの遺産分割協議を代わりに進めることはできません。

このような場合、「特別代理人の選任」が解決のポイントです。
特別代理人」とは、お子さんたちの代わりに遺産分割協議に参加する第三者のことで、家庭裁判所で選任します。
特別代理人を立てることで、お子さんたちが遺産分割において不利益を被ることを防ぐことができます。

通常、特別代理人には、未成年者の法定相続分(法律で定められた相続の割合)を確保する義務があるため、順当にいけば相談者様が1/2、長男、長女がそれぞれ1/4ずつ相続することになります。

しかし、今回の場合、法定相続分通りに相続することが、このご家族にとって利益となるわけではありません。
お子さんたちの今後の生活費や大学進学費用を考慮し、親権者(扶養義務者)である相談者様が自宅と預金を取得する方が望ましいと判断しました。

当事務所の解決手順

そこで、当事務所は以下の手順で手続きを進めました

特別代理人の選定

お子さん 2 人それぞれの特別代理人として、候補者 2 名を選びました。特別代理人候補者は、未成年者と利害関係がなく、法的行為能力があることが条件です。信頼できる親族や知人に依頼するのが一般的です。

家庭裁判所への申立て

当事務所が、家庭裁判所に提出する「特別代理人選任申立書」を作成しました。
申立書には、相談者に署名・押印していただきました。

遺産分割協議書案の作成

通常とは異なり、自宅と預金を女性が取得する内容の遺産分割協議書案を作成しました。加えて、法定相続分を確保しないことの合理的な理由を説明する「上申書」も作成し、女性がお子さんたちの扶養義務を負うため、お子さんの利益を害するものではないことを明記しました。

必要書類の収集と提出

戸籍謄本や印鑑証明書など、相続手続きに必要な一連の書類を集め、当事務所が家庭裁判所に提出しました。
特別代理人選任審判:書類提出から数週間後、家庭裁判所から特別代理人候補者へ照会状が届き、返送後に「特別代理人選任審判書」が発行されました。

遺産分割協議の成立

特別代理人が選任された後、正式な遺産分割協議書に、女性と特別代理人が署名・実印を押印し、遺産分割協議が成立しました。

相続登記と抵当権抹消

遺産分割協議書に基づき、自宅の名義を女性へ変更する相続登記を行いました。同時に、完済された住宅ローンの抵当権抹消登記も行いました

預金の解約と自動車の名義変更

相続関係を証明する書類一式(相続証明書ファイル) を使って、金融機関で預金を解約し、女性の口座へ振り込みました。また、運輸局で自動車の名義変更も完了させました。

費用

項目金額備考
司法書士費用155,000円特別代理人選任申立、遺産分割協議書作成、相続登記、抵当権抹消登記を含む
登録免許税34,000円不動産登記にかかる税金
相続税0円今回は相続税の基礎控除額内であったため、相続税はかかりませんでした

まとめ

若くしてご主人が亡くなられたご家庭では、残されたご家族の今後の生活が最も重要となります。
今回のケースでは、未成年の子どもたちの将来を考え、女性がすべての財産を相続することが最善の選択でした。

未成年者がいる相続手続きは複雑で、特別代理人の選任や、必要に応じて法定相続分と異なる遺産分割を行うための専門的な知識と手続きが発生します。当事務所は、ご家族の状況に寄り添い、家庭裁判所への申立てから不動産や預金の名義変更まで、一貫してサポートいたします。

今回の事例のように、ご依頼者様の意向を最大限に尊重し、法的な問題をクリアしながら、円満な相続を実現することが当事務所の使命です。もし、同じようなお悩みをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。
私たちは、ご家族の未来を守るために、誠心誠意お手伝いいたします。

  • 団体信用生命保険(団信):住宅ローンの契約者が死亡または高度障害になった場合に、保険金でローンが完済される保険
  • 特別代理人:未成年者と親権者の間で利害が対立する場合に、未成年者の代わりに法律行為を行うために家庭裁判所が選任する代理人のこと
  • 法定相続分:民法で定められた、各相続人が相続できる財産の割合
  • 登録免許税:不動産登記などの登記手続きを行う際に国に納める税金
  • 相続税:亡くなった方の財産を相続した際に課される税金です。一定の非課税枠(基礎控除額)があり、今回はその範囲内でした

当事務所は、
①円満相続については効率よい手続
②疎遠・複雑な相続については出来る限りの対処療法
③資産の凍結を防ぎたい・相続トラブルを予防したいご家族には家族信託・遺言・生前贈与などの生前対策
ご提案・ご提供することにより、皆様の安心・円満な相続と有効な資産の利活用にお役立ちすることを使命としております。

ご相談・ご依頼を心よりお待ち申し上げております。