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【遺言で将来の不安を取り除く】突然次男が同居し暗雲!長男へ跡取りを任せたい 生前対策で解決

【遺言んで将来の不安を取り除く】突然次男が同居し暗雲 長男へ跡取りを任せたい 生前対策で解決 遺言

〈2021 年解決事例〉
(※プライバシーへの配慮から編集を施しております)

相談内容

83歳のお祖母様と長男の子である30歳の孫娘様(岐阜県各務原市在住)からのご相談です。

【相談者(祖母)】
私には、67歳の長男と65歳の次男、二人の子がいます。
長男は離婚していますが、孫娘が敷地内に家を建てて住んでくれています。

長男と長年同居生活を送っており、自宅と土地も長男に相続してもらう予定でおりましたが、今年になって急に次男が家に住み着くようになりました。
私も長男も、次男を無下にすることもできず、なし崩し的に同居しています。

家のことは長男に任せたつもりだったのですが、このまま次男が住み続けた場合、将来の相続が不安です。

【孫娘】
結婚後、実家隣の土地に夫名義の住宅ローンで家を建て、夫婦で生活しています。
土地は祖母と父の共有名義です。

平和に暮らしていましたが、突然叔父さんが実家に戻り住みだして、どういうつもりなのか不安です。
将来的に相続が発生した際に、私の家が建っている土地に叔父さんの名義がついたら困ります。
父に話しても、あいまいな返事をするばかりで全然動いてくれないので、こうして祖母と相談に伺いました。

家族信託や遺言などの生前対策について教えてほしいです。

祖母名義の財産
自宅・孫娘様の敷地(祖母と長男の共有名義)
田畑・山林などの不動産
合わせて固定資産評価額で7000万円、相続税評価額で概算8500万円

預貯金は3000万円

お母様の法定相続人は、長男様と二男の叔父様の二人です。

このようなケースの場合、生前対策を行うことが有効です。


今回は、遺言、家族信託、生前贈与の3つについて、費用・手続き・遺留分への対応についてご説明させて頂いたうえで、最終的に遺言を採用した理由をご説明させて頂きます。

生前対策の比較表(金額は概算)

最初に、生前対策なしの場合と、3つの生前対策「遺言、家族信託、生前贈与」のどれかを行った場合の比較表をご覧ください。

比較表

表の最後の行、「合計(掛かる費用の下限と上限)」の部分に注目してください。
生前対策をしなかった場合、最終的に必要となる可能性のある金額が6269万円となり、何らかの生前対策を行った場合と比べると倍近くのリスクを含んでいることが分かります。

生前対策を行うにも費用がかかりますが、その後に降りかかる可能性がある金額を考えると対策を講じておくことが得策です

「生前対策なし」と「生前対策あり」の具体的な見通しの違い

「生前対策なしとした場合」の相続等の見通し

生前対策なしの相続の手続

生前対策がない場合の相続手続は、戸籍調査・遺産調査・遺産分割協議・遺産の名義変更、相続税申告の5段階。
この場合、遺産分割協議において相続人全員の満場一致が必要です。
相続人の中に一人でも同意できない方がいた場合、手続きが進まず揉める原因となります。

生前対策なしの相続で揉めるお金

相続発生時に法定相続分について次男と揉める可能性があります。
本件の場合、次男の法定相続分は遺産額の50%、概算5750万円ですので、次男が相続放棄に同意しない場合、長男はこれに相当する金額を次男に支払うか、不動産を次男と共有名義に変更することになります。

生前対策しない代償として、将来の相続リスクが倍増!

相続発生時にかかる合計金額は、円満に済めば各種税金と手続き手数料で概算520万円程度で済みますが、揉めた場合はその金額に法定相続分をプラスして、最高で概算6270万円と膨れ上がります。
揉めた場合を想定すると非常に高額になることが分かります。

生前対策なしの相続の難易度

生前対策していない状況は、将来の相続の問題を後回しにしている状況です。
遺産分割協議の難易度は、リスクの上限への振れ幅が大きいのが特徴です。

お互い譲り合えれば円満に進みますが、譲り合うことが出来なければ、最終的には法定相続分を巡った相続争いとなります。

「遺言で生前対策をした場合」の相続等の見通し

生前対策【遺言作成】の手続き

生前対策として最初に検討すべきは遺言書です。
遺言書作成の手続きは、戸籍調査、財産調査、遺産分けのプランの文書化の3段階です。

ポイントは、遺産分けのプランの文書化です。
遺言者本人の希望、お金の配分、相続税、遺留分、実現可能性を総合的に考慮して遺言書文案を作成します。

遺言がある相続の手続

遺言がある相続の手続は、戸籍調査・遺産調査・遺産の名義変更、相続税申告の4段階です。
すでに遺言で本人の希望に沿って遺産分けが済んでいるので、遺産分割協議が不要になるのが大きなポイントです。

遺言で生前対策した相続にかかる費用

遺言で生前対策した場合でも、遺留分で揉めることがあります。

『遺留分』とは、一定の法定相続人に最低限の財産の確保が保証される権利です

本件の次男の遺留分は遺産額の25%、概算2875万円です。
遺言を用意していない場合と比べ保証しなければならない金額の上限が半分になり、大幅にリスクが減ります。

遺言による生前対策にかかる費用は30万円程度です。
相続時に発生する各種税金等をあわせた場合、概算540万円程度。
ここに遺留分を上乗せした場合でも概算3415万円程度で済むため、将来の相続の上振れリスクを考えれば、費用対効果は抜群です。

遺言で生前対策した相続の難易度

遺言書の作成自体の難易度は高くはありません。
遺言者ご本人が、相続人にどのように財産を相続してもらいたいかを司法書士にお伝え頂いたら、あとは司法書士が調整をします。

相続で揉めそうな場合は、まずは遺言書の作成をおすすめします

解決方法⋯遺言を作成し生前対策を行う!

今回の事例では、最終的に遺言公正証書を作成することとなりました。

  • 主な目的が長男による不動産の承継で、認知症対策としての財産の管理・処分は予定していない。→生前贈与・家族信託までの必要性が低い
  • 将来の相続で遺留分を侵害することは確実で、遺留分を請求されたときに備えて、複雑になりがちな家族信託の採用に消極となった。→家族信託の許容性が低い
  • 不動産取得税や5倍となる登録免許税の負担増は望んでいないこと→生前贈与の許容性が低い

遺言の概要

自宅や土地などの不動産は長男に引き継がせたい」「孫娘の不安を取り除きたい」という相談者様(祖母)の希望に沿って作成した遺言の概要です。

  • 遺言者は、遺言者が有する一切の財産を、遺言者の長男○○に相続させる。
  • 前項の場合において、遺言者の長男○○は、前項に定める財産を相続することの負担として、遺言者の有する一切の債務を承継し、これを弁済しなければならない。
    また、遺言者の二男○○に、相続開始時の遺言者の預貯金額の2分の1の代償金を支払わなければならない。
  • 遺言者は、遺言者の長男○○が遺言者より先に又は遺言者と同時に死亡したときは、遺言者の長男○○に相続させるとした財産を、遺言者の孫○○に相続させる。
  • 前項の場合において、遺言者の孫○○は、前項に定める財産を相続することの負担として、遺言者の有する一切の債務を承継し、これを弁済しなければならない。
    また、遺言者の二男○○に、相続開始時の遺言者の預貯金額の2分の1の代償金を支払わなければならない。
  • 遺言者は、本遺言の執行者として、遺言者の長男○○を指定する。遺言者の長男○○が遺言者より先に又は遺言者と同時に死亡したときは、本遺言の執行者として遺言者の孫○○を指定する。

この遺言を作成したことにより、相談者様(祖母)の相続が発生した際に万が一次男が財産の相続を主張したとしても、遺言の通り「次男への代償金」以外の相談者様の財産は「長男もしくは孫娘」が相続できることになります。

これで兄弟間の無用なトラブルも避けられ、孫娘さんも安心して生活できますね

概算費用(財産額1億円/17物件/推定相続人2名)

項目報酬実費
事前登記情報×17
9,599
戸籍代行取得×12,500450
公正証書文案作成・証人①175,000
公証人手数料
81,500
証人②
5,000
小計177,50096,549
消費税17,750
合計請求額¥291,799

その他の生前対策

遺言公正証書を作成した生前対策について解説しましたが、「家族信託」や「生前贈与」にて生前対策を行う場合、どのような手順になるでしょうか。

本ケースを踏襲しながら番外編にて解説していますので、ぜひそちらも合わせてご覧ください。

まとめ

今回は、主に将来の遺産承継のコストを節約するために遺言公正証書を作成した事例でした。

生前対策を検討するときは、遺言書を基本に、家族の状況、財産状況、将来設計に応じて、家族信託、生前贈与、養子縁組、生命保険を組み合わせてご提案させて頂きます。

当事務所は、
①円満相続については効率よい手続
②疎遠・複雑な相続については出来る限りの対処療法
③資産の凍結を防ぎたい・相続トラブルを予防したいご家族には家族信託・遺言・生前贈与などの生前対策
ご提案・ご提供することにより、皆様の安心・円満な相続と有効な資産の利活用にお役立ちすることを使命としております。

ご相談・ご依頼を心よりお待ち申し上げております。