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【日本に帰化した元韓国籍の方の相続】登録基準地の確認と帰化前の韓国戸籍の取得

帰化した元外国籍の方の相続 登録基準値の確認と韓国戸籍の取得 相続

相談内容…元外国籍で日本に帰化している場合の相続方法は?

〈2019 年解決事例〉
(※プライバシーへの配慮から編集を施しております)

私たち一家は元韓国籍で、約50年前に家族全員が日本に帰化しています。この度夫が他界し、相続登記を進めたいです。相続人は妻の私と子の二人です。
夫を含め全員が昭和50年に、日本に帰化しており、帰化時の年齢は、夫30代、私20代、子3歳でした。

家族三人の相続関係図

相続手続では、被相続人である夫の戸籍を出生まで遡る必要があります

が、帰化前の戸籍はどのようにして取得するのでしょうか?

帰化とは、その国の国籍を有しない者(外国人)からの国籍の取得を希望する旨の意思表示に対して、国家が許可を与えることによって、その国の国籍を与える制度です。日本では、帰化の許可は、法務大臣の権限とされています(国籍法第4条)。
 法務大臣が帰化を許可した場合には、官報にその旨が告示されます。帰化は、その告示の日から効力を生ずることになります(国籍法第10条)。

東京法務局HPより
https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000001_00885.html

解決方法…登録基準地を確認、韓国戸籍の交付請求

1,帰化後の日本戸籍の交付請求

相続手続の出発点は、故人の出生から死亡までの連続全戸籍を集めるところから始まります。

今回は韓国から帰化された方ですので、請求すると昭和50年の帰化後の日本の戸籍がすべて発行されます。

具体的には、帰化後の縦書きの改製原戸籍謄本、横書きの現在の戸籍全部事項証明書、戸籍の附票が発行されます。改製原戸籍には、ご家族3名が、昭和50年に韓国から日本に帰化したことが記載されています。

帰化されていない在日韓国人の方については、韓国総領事館で、家族関係証明書などを取り寄せます。

2,韓国における本籍地=登録基準地の確認

次に、法務省入国管理局出入国管理情報官出入国情報開示係宛に、外国人登録原票の写しの交付請求をします。
目的は、韓国における本籍地=登録基準地の確認で、この情報が韓国戸籍を請求する際に必要となります。

3,帰化前の韓国戸籍の交付請求

最後に、韓国総領事館に、帰化前の韓国戸籍の交付請求をします。
韓国語部分について訳文(翻訳)も要求されるので、韓国戸籍専門の行政書士に外注します。

以上により、故人の出生から死亡までの連続全戸籍が揃います。

4,遺産分割協議書に署名と実印押印

司法書士から相続人に遺産分割協議書を郵送します。相続人2名は、遺産分割協議書に署名・実印押印し、印鑑証明書を同封してご返送いただきます。

5,相続登記

司法書士が、韓国戸籍、日本戸籍、遺産分割協議書、印鑑証明書の4点を揃えて相続登記を法務局に申請し、約2週間で登記完了となります。

概算費用(遺産額800万円/2物件)

項目報酬実費
事前登記情報
662
外国人登録原票の写し5,000
家族関係証明書・除籍謄本 訳文【行政書士外注】
44,000
相続関係説明図10,000
遺産分割協議書13,000
相続登記44,00032,000
事後登記情報
662
小計72,00077,324
消費税7,200
合計請求額¥156,524

まとめ

司法書士が主に取り扱う相続手続は、遺産の中に日本の不動産が含まれる相続です。
遺産の中に日本の不動産が含まれる相続は、次の3つに分けることができます。

  • 出生から死亡まで日本国籍の方の相続
    • 普通の相続
  • 外国籍から帰化した日本国籍の方の相続
    • 亡くなった時点で日本人ですので、日本の相続法が適用される点は①と変わりません。しかし、帰化前の外国における身分関係の資料収集が必要とされる点が①と異なります。
  • 外国籍の方の相続
    • 亡くなった時点で外国人ですので、どこの国の法律が適用されるかの調査が必要です。また、出生から死亡までの身分関係につき、日本の戸籍制度とは異なる方法での調査が必要です。

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